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数学はいかにして創られたか

古代から現代にいたる歴史的展望

著:Luke Hodgkin
訳:阿部 剛久
訳:竹之内 脩

紙版

内容紹介

本書はLondonのKing's Collegeでの講義ノートをもとにまとめられた数学史の書籍である。バビロニア、ギリシャ、中国、イスラム、西欧(近代科学の勃興と形成)、幾何学の進歩(非ユークリッド幾何学と空間概念)、近代数学と基礎に関する新しい問題、現代の数学の諸相にわたって、各地域の数学をそれぞれの起源から時代的に進展してきた有様を説き起こしている。
 数学の個々のテーマの歴史的展開や時代ごとの問題の起源、その発展の推移や過程も主題として論じられながら、これらの歴史的背景や社会的文化的考察にも鋭く立ち入って叙述されている。さらに、将来的課題も示唆されており、今後の開拓が期待される。
 従来の数多いヨーロッパの数学を中心とした歴史書とは異なり、数学思想の源流を、原典資料を駆使して広域的に取上げて論じた数少ない労作である。

目次

第1章 バビロニアの数学
1 始まり
2 原典と選択
3 例についての議論
4 記数法の重要な意味
5 抽象化と無用
6 何がそれ以前にあったか
7 いくつかの結論
付録A 2次の問題の解

第2章 ギリシアの人びと,および'原点'
1 プラトンとメノン
2 文献
3 一つの例
4 材料の問題
5 ギリシアの奇跡
6 二つの大変革?
7 同一性のない海に溺れて
8 現代化と再構成
9 比について
付録A メノンから
付録B 正5角形,黄金比,無理数

第3章 ギリシアの人びと,実用と理論と
1 序論と一つの例
2 アルキメデス
3 ヘロン
4 天文学.特にトレミー
5 文化のないローマ人たち
6 ヒパティア
付録A ヘロンの『測定』から
付録B トレミーのアルマゲストから

第4章 中国の数学
1 はじめに
2 文献
3 中国の初期の簡単な歴史
4 九章
5 算木――誰がそれを必要とするのか
6 行列
7 宋王朝,元王朝.秦九韶
8 「伝播」――いつ,そしてどんなふうに?
9 後の時代

第5章 イスラム圏,無視と発見
1 はじめに
2 文献への取りかかり
3 二つのテキスト
4 黄金時代
5 代数――その起こり
6 代数――次の発展
7 アル-サマワルとアル-カシ
8 宗教のご利益
付録A アル-フワリズミの代数から
付録B タビット・イブン・クッラ
付録C アル-カシの『計算者のキー』第4巻第7章から

第6章 科学革命とは何であったか
1 序論
2 文献
3 スコラ哲学者たちとスコラ哲学
4 オレームと級数
5 計算的伝統
6 タルタリアと彼の友人
7 権威について
8 デカルト
9 無限大
10 ガリレオ
付録A
付録B
付録C
付録D

第7章 微分積分学
1 序論
2 文献
3 優先権論争
4 ケララ関係
5 ニュートン,知られざる仕事
6 ライプニッツの混乱を招く出版
7 プリンキピアとその問題
8 微積分のその後の展開
9 実際の微積分
10 あとがき
付録A ニュートン
付録B ライプニッツ
付録C プリンキピアから

第8章 幾何学と空間
1 序論
2 最初の問題:仮説
3 空間と無限大
4 球面幾何学
5 新しい幾何学
6 '時間のずれ'の問題
7 どんな革命か
付録A ユークリッドの命題I.16
付録B 球面および双曲型三角法の公式
付録C ヘルムホルツの1876年の論文から

第9章 現代数学とそれへの懸念
1 序論
2 文献
3 数学の新しい対象
4 危機とは,どんな危機か
5 ヒルベルト
6 トポロジー
7 部外者たち
付録A 切断の定義
付録B 直観主義
付録C ヒルベルトの計画

第10章 カオス的終末?
1 序論
2 文献
3 第二次世界大戦
4 抽象化と'ブルバキ'
5 コンピュータ
6 カオス:知ることが少なくなればなるほど,ますます得ることがふえる
7 トポロジーから圏へ
8 物理学
9 フェルマーの最後の定理
付録A ブルバキ、「代数学」から:入門
付録B 計算可能数に関するチューリング

ISBN:9784320019089
出版社:共立出版
判型:B5
ページ数:352ページ
定価:5200円(本体)
発行年月日:2010年01月
発売日:2010年01月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PB