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共立叢書 現代数学の潮流

超函数・FBI変換・無限階擬微分作用素

著:青木 貴史
著:片岡 清臣
著:山崎 晋

紙版

内容紹介

佐藤超函数論と無限階擬微分作用素論の本格的解説書である。本書の特色は二つある。第一は佐藤超函数論における基礎理論の展開にFBI変換を活用する点にある。佐藤超函数は通常、層係数の相対コホモロジーという代数的に高度な概念を用いて定義されるが、この点が解析学を専攻する学生には敷居の高さを感じさせるものであった。本書ではコホモロジーは用いずに佐藤超函数を定義する。そして超函数論における種々の基本定理は主にFBI変換を利用して解析的に証明される。この点で解析学に興味を持つ者にとって近付きやすい内容となっている。第二の特色は無限階擬微分作用素について初めての解説書であること。比喩的に「シュヴァルツ超函数:佐藤超函数=有限階作用素:無限階作用素」と書くことができるように、無限階作用素を理解することは佐藤超函数論の本質を捉える上で不可欠である。無限階擬微分作用素の基礎から可逆性定理にいたる理論の主要部分が簡潔に解説されている。全編通じて必要な予備知識は最小限で済むように配慮されているにもかかわらず、殆どすべての定理等には詳細な証明が付けられている。佐藤超函数論に始まり現在も発展を続けている代数解析学に興味を持つ学生、研究者必携の書である。

目次

第1章 多変数整型函数とFBI変換
1.多変数複素解析からの準備
2.無限階微分作用素とその表象
3.整型函数のFBI変換
4.整型函数の特殊化

第2章 超函数と超局所函数
1.超函数の定義
2.超函数の局所FBI変換
3.超局所函数の定義と基本定理
4.微分,代入と積
5.積分
6.曲面波展開
7.超局所作用素

第3章 超函数の諸性質
1.コンパクト台の超函数と位相
2.函数空間の埋込み
3.超函数の層の脆弱性
4.Schwartz超函数の埋込み
5.超函数の諸構造
6.Fourier変換
7.1変数超函数の諸例

第4章 無限階擬微分作用素
1.表象と古典的形式表象
2.表象による無限階擬微分作用素の定義
3.Radon変換と超局所作用
4.形式表象
5.無限階擬微分作用素の核函数
6.核函数上の諸演算
7.核函数と超局所作用

第5章 表象の指数法則と可逆性定理
1.劣1階(形式)表象と指数函数表象
2.積,形式随伴及び座標変換
3.指数法則の証明
4.劣1階作用素の指数函数
5.特性集合と可逆性定理
6.可逆性定理の別証明

第6章 量子化接触変換
1.超局所微分作用素
2.擬微分作用素の割算定理
3.量子化接触変換
4.量子化接触変換と表象

付録A 記号及び準備
1.一般的記号
2.前層と層
3.幾何学的設定
4.劣調和函数

参考文献
索引

ISBN:9784320016958
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:324ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2004年06月
発売日:2004年06月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBP