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あなたのためのクリティカル・シンキング

著:スティーヴン・H・ジェンキンズ
訳:廣瀬 覚

紙版

内容紹介

 チョウの渡り行動,法廷での目撃証言,マリファナの医薬利用から,感染症の拡散,遺伝率,気候変動にいたるまで,科学のさまざまな分野の話題を材料としたクリティカル・シンキングの指南書。
 認知バイアス,データ,因果と相関,グラフの活用法,エビデンスの重み,モデルの役割といった,学問的知見を解釈するための注意や知識をやさしく説く。

[原著: Tools for Critical Thinking in Biology, Oxford University Press, 2015]

目次

まえがき
謝辞
訳者まえがき

1 発見と因果
オオカバマダラの越冬地を突き止める
恐竜はどんな外見をしていたか
オオカバマダラの渡りの至近因
至近因とナビゲーション
オオカバマダラはどうやって時間を知るのだろうか
オオカバマダラの渡りの究極因
至近因と究極因をさらに広い視点から考える
補説

2 エビデンスとしての観察
エビデンスとしての観察———2 つの事例研究
法廷での観察
通常科学における確証バイアス
医学におけるエビデンスとしての観察
結語

3 観察からデータへ
ヒトの身長と体重を記述し分析する
動物の大きさ
なぜ鳥類と哺乳類の体重は2g以上あるのか
最大の動物はどうか
結語

4 実験———研究の規矩
マリファナの医薬利用をめぐる2つの実験研究
マリファナはHIV/エイズ患者の痛みを緩和するのか
マリファナ喫煙は健常者に人為的に与えた痛みにどう影響するか
性はどうやって決まるのか———観察と実験によるエビデンス
母親は子の性を左右できるのか———ある進化仮説から
フクロネズミの実験によるトリヴァーズ=ウィラード仮説の検証
野生馬の観察によるトリヴァーズ=ウィラード仮説の検証
受胎時の母親の状態はどのようにして子の性に影響するのか———マウスによる検証実験
結語
補説

5 相関・比較・因果
コウノトリと赤ちゃん
携帯電話と脳腫瘍———相関研究
携帯電話と脳腫瘍———比較研究
鉛と犯罪率
結語
補説

6 生物学におけるモデルの使用
2つの具体的なスケール・モデル
疾病拡散の数理モデル
捕食者と被食者———別種の数理モデル
結語
補説

7 遺伝子・環境・因果の複雑さ
「生まれと育ち」問題と因果の複雑さ
〈単純な〉遺伝的基盤のある形質
双子から学ぶ
別々に育てられた一卵性双生児
双子の身長の相関
双子を使った「生まれと育ち」研究のモデル
遺伝率の例をもう少し
IQはどれだけ遺伝するのか
遺伝率の限界
生まれ・育ち・因果の複雑さ
結語
補説

8 原因から結果へ———エビデンスの重みを考える
ハリケーン・カトリーナ,ニューオーリンズ,因果の網
因果の網を断ち切る難しさ
食物網のかなめ石———生態系の複雑な因果関係を分析する
ラッコはキーストーン種か? エビデンスの重みは何を語るか?
深まるラッコの謎
拡大するシャチの舞台
イエローストーンのオオカミとエルク———これも栄養カスケードか
結語
補説

9 社会的プロセスとしての科学
1人の研究者と2つの科学の現場
科学は社会的プロセスである
査読
査読の帰結
査読と物議を醸すアイデア
査読とエイズの起源
論文出版後の訂正
結語
補説

10 気候変動をめぐるクリティカル・シンキング
FiLCHeRS———クリティカル・シンキングの6つのツール
反証可能性
論理
包括性
誠実性
再現可能性
十分性
気候変動をめぐる3つの一般原理
結語———科学・政治・経済・倫理にまたがる問題
補説

補論
A1 単位について
A2 進化の仕組み
A3 ヒトと動物の感覚世界
A4 地球規模の気候変動———どうすれば素人に複雑なモデルが理解できるのか
A5 消えた遺伝率の謎
A6 論証の地図を描く———エビデンスの重みとクリティカル・シンキング
A7 有機農法のメリットとは———エビデンスの重み
A8 地球規模の気候変動———専門家の意見を評価する

文献一覧
クレジット
索引

ISBN:9784320006119
出版社:共立出版
判型:菊判
ページ数:392ページ
定価:4300円(本体)
発行年月日:2021年10月
発売日:2021年10月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JMA