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『源氏物語』引歌の生成

『古今和歌六帖』との関わりを中心に

著:藪 葉子

紙版

内容紹介

『古今和歌六帖』から『源氏物語』理解の可能性を開く

平安時代、文化を担った貴族たちの意識の中には常に和歌があり、『源氏物語』は和歌の美意識の集大成ともいえる。
作歌の手引書『古今和歌六帖』は他の和歌集にはない、当時の貴族たちのイメージや意識が表れている特徴を持つ。
本書は『古今和歌六帖』から『源氏物語』作者や当時の読者たちの意識の一端を具体的に探ることを試みる。

目次

本書を読む前に
凡例
はじめに

第一章 朝顔から夕顔へ
一 先行作品における夕顔
二 夕顔の花の表象
三 「山がつ」の語について
四 「かきほ」の歌題への着目
五 「しののめ」の語について
六 夕顔と朝顔との関係

第二章 須磨巻の検討
一 『古今六帖』各帖所載の引歌数
二 宰相の中将の須磨訪問場面
三 「黒駒」と「笛」の対称
四 「いへばえに」の語への着目
五 「ふえ」の歌題の特色
六 高麗笛について
七 「ふえ」の歌題と物語との関連
八 源氏四十の賀の「高麗笛」
九 「かがみ」の歌題への着目
一〇 『古今六帖』第五帖と物語との関連

第三章 玉鬘の美の表象
一 「葎」と「玉かづら」の歌題の連接
二 「撫子」と「山吹」の歌題の連接
三 真木柱巻への着目
四 冷泉帝の「言種」の特色
五 「赤裳垂れ引き」の表現について
六 「裳」の歌題への着目
七 玉鬘と山吹との照応
八 「立ちて思ひ......」の引歌の方法
九 「春の野に......」の引歌の方法
一〇 「くちなし」の歌題への着目
一一 山吹のイメージの再現
一二 『古今六帖』と物語との関係

第四章 「東路の道の果てなる......」の引歌に関して
一 藤袴巻の玉鬘求婚譚
二 「『道の果てなる』とかや」の主体について
三 藤袴巻の「東路の......」の引歌の意義
四 夕霧と柏木との照応
五 竹河巻の「東路の......」の引歌の意義
六 「帯」の歌について
七 引歌への着目から窺えること

第五章 『河海抄』に引用された『古今六帖』の歌の様相
一 『河海抄』の『古今六帖』引用への着目
二 『河海抄』所引の『古今六帖』本文と現存『古今六帖』本文との対照表
三 『河海抄』の『古今六帖』出典注記
四 『河海抄』所引の『古今六帖』本文と現存『古今六帖』本文との相関
五 『河海抄』所引の『古今六帖』の歌の作者名表記
六 『河海抄』所引の『古今六帖』本文の様相
七 『古今六帖』現存本の様相の一端

第六章 人物の古歌の利用と出典との関係
一 さほど高貴でない人物の利用する古歌の出典一覧
二 「雨夜の品定め」における古歌の利用
三 人物の身分と古歌の出典との相関
四 女性に対する源氏の古歌の利用
五 『古今六帖』の歌題第一首目の歌について
六 人物の古歌の利用から窺えること

第七章 引歌の季節と連鎖をめぐって
一 物語場面と引歌の季節との不一致
二 桐壺巻〈野分の段〉への着目
三 秋の場面における春の歌の引用例一覧
四 秋の場面における春の歌の引用例の検討
五 〈野分の段〉の「とふ人も......」の引歌の意義
六 「木の間より......」の引歌の意義
七 柏木物語にみえる引歌の反復
八 夕霧の弔問場面の引歌について

おわりに
初出一覧
あとがき
索引

著者略歴

著:藪 葉子
昭和46年生まれ
平成9年 大阪教育大学大学院修士課程修了、平成13年 
武庫川女子大学大学院博士後期課程修了、博士(文学)
現在 武庫川女子大学他非常勤講師
著書 『伊勢物語 享受の展開』(共著 竹林舎)

ISBN:9784305708441
出版社:笠間書院
判型:A5
ページ数:256ページ
価格:6500円(本体)
発行年月日:2017年04月
発売日:2017年04月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ