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新 源氏物語は読めているのか III

密通によって生まれた人間の生

著:望月 郁子

紙版

内容紹介

源氏物語 第二部の
プロットは《密通》である。

源氏物語を通して描かれる、
《密通》によって生を受けた
人間の生きざまを読み解く。

若菜下巻からの主要テーマである《密通》。物語は《密通》によって生まれた人間(柏木・玉鬘・薫・浮舟)の生きざまを描き出す。琴・笛など、「楽器の音色は遺伝する」という貴族社会の意識なども手掛かりに、新たな源氏物語の解釈を提示する一書。著者の源氏物語論、第五弾。

目次

 本書を読む前に
 はじめに

第一章 柏木の誕生--父頭中将の野心
 一 柏木の生涯のあらまし
 二 柏木の物語への登場
 三 柏木の誕生
 四 柏木誕生後の頭中将の意識―雨夜の品定めにおける
 五 頭中将の意識―八宮立太子の陰謀

第二章 柏木の女三宮密通--当事者の対応
 一 密通の現場の描写
 二 柏木の人柄「静まりたる人」
 三 密通を恐れない柏木の意識
 四 柏木の絶望
 五 正妻女二宮に対する柏木(密通以後)
 六 女三宮の悲嘆

第三章 柏木の女三宮密通--光源氏の対応
 一 光源氏の六条院来訪と紫上の急変
 二 密通後の女三宮
 三 光源氏女三宮の懐妊を知る
 四 柏木の現実と光源氏の柏木への対し方

第四章 柏木の死
 一 死と直面する柏木
 二 女三宮の、出産(薫の誕生)と出家
 三 柏木の死
 四 橋姫巻が語る柏木の遺詠

第五章 若菜上・下巻考--はじめに「密通」ありき
 前書き
 一 朱雀院の出家願望と女三宮の将来への憂慮
 二 女三宮の婿選び
 三 光源氏の栄華(「宿曜」の予言に導かれた明石入道の働き)対朱雀院
 四 若菜巻上下の境―女三宮を見て柏木文を小侍従に託す
 五 紫上発病、二条院へ―密通のチャンス成立
 六 女三宮の出産に続く出家
 七 「若菜」とは

第六章 薫に対する光源氏の対応
 前書き
 一 薫の五十日の祝い
 二 「あはれ衛門督」
 三 赤子の薫の愛らしさ

第七章 若年の薫--匂兵部卿巻を中心に
 一 光源氏没後の薫をとりまく諸状況
 二 十五歳の薫の特異性―戒めの芳香が働きだす
 三 十九歳~二十歳の薫

第八章 竹河巻の薫
 導入
 一 玉鬘の薫への対し方
 二 玉鬘の姫君方
 三 薫
 四 竹河巻の前口上
 五 匂兵部卿三帖の役割

第九章 宇治八宮・弁・薫、浮舟
 前書き
 一 柏木誕生に対する八宮の意識
 二 紅梅巻・竹河巻と橋姫巻とのつながり
 三 八宮の楽
 四 柏木の楽の才能
 五 薫の八宮・弁との交渉
 六 八宮薨去後

【付章】
 ①弘徽殿女御と父右大臣--朱雀の立太子と「前坊」
 ②弁の尼の語る浮舟の誕生
 ③「音楽」という言葉(「楽」との違い)

あとがき

著者略歴

著:望月 郁子
昭和8年11月21日、静岡県藤枝市に生れる。昭和31年、津田塾大学英文科卒業。昭和35年、法政大学大学院日本文学科修士課程修了。学習院大学国文科聴講生。常葉女子短期大学教授、静岡大学教養学部教授、同人文学部教授を経て、二松学舎大学大学院文学研究科教授[2003年3月退職]。

ISBN:9784305705624
出版社:笠間書院
判型:A5
ページ数:276ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2012年06月
発売日:2012年06月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ