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文学言語の探究

記述行為論序説

著:石川 則夫

紙版

内容紹介

我々は言語の外へ出られないのだろうか。

文学を言語において読み解くとはどういうことなのか。
文学の言語行為について、〈読むこと〉〈書くこと〉といったことを言語認識論的な意味から考え直し、小林秀雄・川端康成を中心に、宮澤賢治・折口信夫・堀辰雄・夏目漱石の評論や小説を論じていく。作品に文学としての力を発動させているものは一体何か。文学の〈言語活動(ランガージュ)〉分析から、文学の可能性を改めて考える書。

目次

言語からの解放--序にかえて--

Ⅰ 文学言語論の定位と展開
 1 影響と伝達--文学論を制約する二つの言語観--
 2 輻湊する〈読み〉の中で〈文学〉を定位するもの--〈差異化〉と〈非任意性〉--
 3 文学研究の記述行為論へ
 4 〈読み〉の時空を記述すること--読書行為論の再検討--
 5 作品とは何か--川端康成「心中」研究の記述行為論--
 6 読まれる〈私〉の生成--作品・日記・作家--

Ⅱ 小林秀雄・批評の言語をめぐって
 7 ベルグソン体験の展開
 8 意識と言葉--「Xへの手紙」までの小林秀雄--
 9 青山二郎と深田久弥の間で
 10 『感想』と宣長論の交錯--昭和三十五年の記述を考える--
 11 〈形姿〉という文体--その生起をめぐって--

Ⅲ 川端康成・生動する文学言語
 12 川端文学の言語観--言語不信が要請する言語依存--
 13 「伊豆の踊子」その〈風景〉の発見と〈旅〉の造形--「山越えの間道」の調査から--
 14 「伊豆の踊子」の視角--〈旅〉が隠蔽する〈私〉--
 15 物語の失速/小説の挫折--「伊豆の踊子」再論--
 16 「掌の小説」その課題と展開--「お信地蔵」「神います」を事例として--
 17 「有難う」の省略
 18 「男と女と荷車」論
 19 「故園」の特質
 20 〈体温〉を希求する「雪國」--溶解されるハーフミラー--

Ⅳ 記述行為の身体性へ
 21 宮澤賢治『雪渡り』の歌声
 22 折口信夫『死者の書』の〈近代〉
 23 堀辰雄「不器用な天使」論
 24 夏目漱石『こころ』論

結論と課題

初出一覧/あとがき/索引

ISBN:9784305705006
出版社:笠間書院
判型:A5
ページ数:420ページ
定価:6000円(本体)
発行年月日:2010年02月
発売日:2010年02月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DSA