通読 方丈記
著:手崎 政男
内容紹介
鴨長明の方丈記は、
二系統・五種の異なる本文が、
現在伝わるが、うち四種は、
長明の手になるものであり、
推敲の跡をそれぞれに
とどめているものと
見ることができるのではないか--。
推敲の過程の総結集としての、
伝自筆『大福光寺本方丈記』を
各本に目を通した形で読む(=通読)、
新しい方丈記の読み方。
あらゆる方丈記論が瓦解する。
目次
はじめに
凡例
一 序章部 前段(可知の世界)
(1)ユク河ノナガレハタエズシテ... "可知"の世界(その一)
(2)タマシキノミヤコノウチニ..."可知"の世界(その二)
通読用本文〔一〕
二 序章部 後段(不可知の世界)
(1)不知......、又、不知... "不可知"の世界(その一)
(2)ソノアルジト、スミカト... "不可知"の世界(その二)
通読用本文〔二〕
三 本章部 前段(人の世の不思議)
(1)予、モノヽ心ヲシレリシヨリ... 「世の不思議」への序説
(2)去、安元三年四月廿八日カトヨ... "大火"に見る「世の不思議」
(3)又、治承四年卯月ノコロ... "辻風"に見る「世の不思議」
(4)又、治承四年ミナ月ノ比... "遷都"に見る「世の不思議」
(5)又、養和ノコロトカ... "飢饉"に見る「世の不思議」
(6)又、同ジコロカトヨ... "地震"に見る「世の不思議」
(7)スベテ、世〔ノ〕中ノアリニクヽ... "日常"に見る「世の不思議」
通読用本文〔三〕
四 本章部 後段(わが生涯)
(1)ワガヽミ、父カタノ祖母ノ家ヲツタヘテ
... 幼年時から出家遁世に至るまで
(2)コヽニ、六ソヂノ、露キエガタニ及ビテ
... 日野山の草庵と、その周辺
(3)若〔シ〕、念仏物ウク、読経マメナラヌ時ハ
... 日野山の草庵におけるその日常
(4)ヲホカタ、コノ所ニスミハジメシ時ハ... 住居論
通読用本文〔四〕
五 終章部 前段(人間論・閑居論)
(1)夫〔レ〕、人ノトモトアルモノハ... 人間論
(2)夫〔レ〕、三界ハ、只、心ヒトツナリ... 閑居論
通読用本文〔五〕
六 終章部 後段(自省・自問・擱筆)
(1)抑、一期ノ月カゲカタブキテ... 自省
(2)シヅカナルアカ月、コノ事ハリヲ... 自問
(3)ソノトキ、心更ニコタフル事ナシ... 擱筆
通読用本文〔六〕
七 跋文
おわりに あとがき 付録 要語と術語の索引