バラツキの対処法~品質を最大限に引き出す数学~
著:小池 伸
内容紹介
現在、多くの企業において、様々な製品やサービスでデータが大量に収集され、それらのビッグデータを活用することによりシステムや部品やソフトの性能や信頼性を向上させるニーズが高まっています。しかしながら、良く使われる標準偏差やモンテカルロシミュレーションなどの既存の方法では一般的なバラツキを精度良く扱うことはできないため、それなりの誤差が避けられません。収集データが十分多く、信頼性の高い情報があったとしても、部品やシステム、ソフトの設計や評価・解析の過程で精度良くバラツキの情報を反映できないのです。性能や信頼性を向上させたつもりでいても、実は見えていない誤差が大きかったりします。
それでは、実際にどのようにバラツキを扱えばよいのでしょうか。本書は、それらを解決すべく分布の形状に着目して、分布による比較、演算、シミュレーションなどの方法を現場に即した例を交えながら解説します。
目次
まえがき
第0章 バラツキの重要性
0-1 品質とバラツキ
0-2 バランスの設計
この章のまとめ
第1章 数値演算の限界
1-1 バラツキ対処法の目的・概要
1-2 どんなバラツキの違いが誤差になるのか
1-3 既存の方法の誤差1
column1 モンテカルロシミュレーション
1-4 既存の方法の誤差2
column2 大数の法則
1-5 誤差を改善するポイント
column3 確率過程、伊藤積分
この章のまとめ
第2章 バラツキの扱われ方
2-1 今までの対処法と問題点
2-2 寸法設計
column4 標準偏差
2-3 ソフト設計
2-4 寿命保証
2-5 システム設計
2-6 生産設備設計
2-7 従来方法からの改善
この章のまとめ
第3章 バラツキを厳密に対処する
3-1 提案する2ステップ
3-2 ステップ1 演算毎に最も確からしい分布を求める
3-3 ステップ2 求めた分布どうしの比較
column5 データから演算対象の分布を作成
3-4 使い方のイメージ1(寿命設計)
3-5 使い方のイメージ2(システム設計)
3-6 使い方のイメージ3(ソフト設計)
第4章 演算要素としての分布
4-1 ステップ1の概要
4-2 ステップ1の拡張
この章のまとめ
第5章 分布による演算(ステップ1)
5-1 ステップ1の詳細
5-2 分布の和算
5-3 多次元分布の和算
column6 ベクトル
5-4 分布の減算
5-5 分布の積算
5-6 多次元分布の積算
5-7 分布の商(割り算)
5-8 多次元分布の商(割り算)
5-9 非可逆性
この章のまとめ
第6章 分布による比較(ステップ2)
6-1 分布の比較と考え方
6-2 累積分布の求め方
6-3 比較する分布の関係
6-4 比較結果の例
この章のまとめ
第7章 相関関係がある分布の演算
7-1 相関関係とは
7-2 相関係数に応じた分布の演算
この章のまとめ
第8章 分布による時系列演算
8-1 時系列演算の相関関係
この章のまとめ
第9章 微分方程式の分布解
9-1 区別する必要がある分布積分
9-2 シミュレーション(時間積分)
9-3 フィードバック制御
9-4 構造設計(距離積分)
この章のまとめ
第10章 分布を演算する電卓
10-1 電卓の概要
10-2 諸元で分布を指定して演算
10-3 データから分布を生成して演算
10-4 多次元分布の演算
10-5 分布の比較
10-6 相関関係がある分布の演算
10-7 時系列演算
10-8 シミュレーション(時間積分)
10-9 フィードバックシミュレーション
10-10 構造設計(距離積分)
付録 電卓が扱う分布のデータ仕様
この章のまとめ
第11章 分布を使った設計例
11-1 ハードの寿命保証
11-2 ランダムなイベントを扱うソフト設計
11-3 システムのシミュレーション設計
11-4 練習問題
付録 分布の元になるデータを作成する
この章のまとめ
引用
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あとがき
索引