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価値の創造主 初代レクサス開発物語

著:櫻井 克夫

紙版

内容紹介

日本車史上の最高傑作の1つとも評されるクルマ、それが初代レクサスとして知られる「レクサスLS400」だ。1989年に市場投入されるや世界中で絶賛の嵐。高級車市場をけん引してきた独メルセデス・ベンツの競合車を凌駕し、世界の高級車の新たなスタンダードとなった名車である。だが、その開発の真実は30年以上秘密のベールに包まれてきた。極秘裏に開発が進められ、その全貌を知る者が少ない上に、これまで誰も開発の詳細を外部に明かさなかったからである。世界を驚かせる「価値」を創るとはどういうことか。初代レクサスの「真の開発物語」を、車両コンセプトから発表までの全てに携わった「伝説の技術者」である櫻井克夫が語り尽くす。

目次

序章
初代レクサス開発年表
第一章 「L」の起源 ─レクサスはなぜ生まれたのか
(一)高級車の本場、欧州では売れなかったトヨタ車
(二)ベンツを超えろ
(三)製品企画取締役に反抗
(四)V6かV8か、商品企画室とエンジン部との衝突
(五)舌を巻いたベンツのすごさ ─高級車調査
(六)「技術の日産、販売のトヨタ」に閉口
(七)最大の関門「御前会議」
第二章 コンセプトの創造 ─知的で人間尊重
(一)初代カローラ開発責任者・長谷川技監の視線
(二)初代レクサスの開発から生まれた大部屋の先駆け
(三)箱根で本音の議論 ─世界の高級競合車の試乗試験
(四)レクサスの販売戦略の開始
(五)トヨタの主査制度とは何か
(六)いざ現地へ ─米国の高級車市場調査
(七)潜在顧客の生の声を聞く ─フォーカスグループインタビュー
(八)固まったレクサス企画 ─米国の高級車市場の調査結果
第三章 生みの苦しみ ─レクサス企画の完成
(一)社内にずらりと並んだ世界の高級車
(二)200km/hを超えろ ─士別テストコースでの高速走行
(三)格上げエンジンへの拍手喝采 ─排気量アップの提案
(四)「レクサス憲法原案」の発布 ─共作した主査構想書
(五)ついに承認された開発提案 
第四章 修業時代 ─入社からレクサスに至るまで
(一)就職先はトヨタ
(二)内装設計での挑戦と主査への憧れ
(三)「Z」への異動 ─トヨタ初のFF車開発に参画
(四)コンセプト車の開発に込めた決意 ─最新技術で造った「FX-1」
第五章 車両づくりとの格闘
(一)開発トップの交代 ─鈴木一郎主査が始動
(二)高品質開発の秘密 ─FQ委員会活動
(三)FQ委員会で生まれた新たな価値
(四)ボデー・内外装品の建て付け品質向上
(五)組み立てやすさの前倒し評価 ─量産試作の車両組み付け検討
(六)鈴木主査も現地・現物 ─米国の高級車市場調査
第六章 デザインとエンジンの苦闘
(一)審査に7回も落ちたデザイン ─アートと技術の融合なるか
(二)外形スタイルが決まらなくてもクルマを造る
(三)世界で最も分解されたV8エンジン ─鉛筆が倒れない低振動
第七章 源流対策と最適化 ─最高峰への不屈の開発
(一)絶賛されたスムーズさと静粛性の鍵
(二)世界を驚かせた静粛性
(三)「やつれ」に手を打て ─品質の経年劣化の抑制
(四)人間工学から生まれた数々の新機能
(五)期待に応えた軽量・高剛性のボデー
(六)世界最高の音を求めて ─オーディオルームの創出
(七)最上の走りの追求 ─サスペンションの造り込み
(八)ベンツの走りに追い付いた瞬間 ─高速域の直進性と安定性の追求
(九)地球88周分の走行試験
(十)【閑話休題 瀬尾聖和さんとの会話】
第八章 画竜点睛 ─新ブランド「Lexus」の披露
(一)最多の試作車、450台を製作
(二)重量企画 ─製品開発業務の仕組み
(三)原価企画 ─利益を生む仕組み
(四)レクサス訴訟 ─知名度向上の事件
(五)絶賛の嵐
(六)禍転じて福となす
第九章 キュムラスからレクサスが生まれた ─学生時代─
(一)高性能複座グライダーとの出会い
(二)高性能グライダーの設計委員会が発足
(三)荷重計算、強度計算が開始された
(四)文部省主催の全国指導者講習会に参加
(五)画期的だった建造資金募金活動
(六)航空局検査官との面談
(七)設計図面の作成
(八)航空局への型式認可申請
(九)いよいよ卒業へ
(十)とんでもないことが起こった
終章

ISBN:9784296202942
出版社:日経BP
判型:4-6
ページ数:334ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2023年09月
発売日:2023年09月16日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN