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DX失敗学 なぜ成果を生まないのか

著:佐伯 徹

紙版

内容紹介

 DX(デジタルトランスフォーメーション)で失敗している企業は多い。DXに取り組むよう会社から言われたものの、どうしたらいいのか悩んでいたり、取り組みを始めたがうまくいくのか自信がないという人もたくさんいるだろう。
 筆者はIT関連の開発に長年携わっており、「失敗学」にも多くの経験を持つ。そこから生み出した失敗の真因を究明するためのツール「ITプロジェクト版失敗原因マンダラ図」は関西IBMユーザー研究会で最優秀賞を受賞している。
 本書ではこのマンダラ図を使って過去のDXプロジェクトの失敗事例を分析し、真因を追究している。
 構成は、まず、序章でDXプロジェクトの大部分は失敗していることを可視化し、多くの企業においてDXがうまくいっていない現状を伝える。DXを簡易的に確認できるチェックシートを使って、読者自ら現状を把握できるようにしている。第1章では、多くの組織が失敗から学んでいないことを、事例を使って説明する。また、どうすれば失敗の真因にたどりつけるのか、「ITプロジェクト版失敗原因マンダラ図」を使うと何が分かるのか、自分だけでも解決に導けるのかについても解説する。
 第2章ではDXに果敢に挑戦し、うまくいかなった事例を使い、「ITプロジェクト版失敗原因マンダラ図」で筆者が実際に分析を行った結果を伝える。取り上げるのは7pay、ドコモ口座、LINE Bank、ブルースターバーガー、三菱UFJフィナンシャル・グループのGO-NET、OYO LIFE、マウントゴックス、Coincheck、野村証券、旭川医科大学の10事例だ。
 第3章ではDXの失敗はDXに固有のものなのか、他のITプロジェクトと同じなのかについて考察を行う。プロジェクトを途中で振り返って失敗を未然に防ぐためのチェックシートの使い方についても解説する。

目次

はじめに

序章 DXプロジェクトの大部分は失敗している
1 DXの構造
2 DXが進まない原因
3 自社のDXの取り組みをチェックしてみよう
4 DXを進めている企業の失敗原因

第1章 失敗から学ぶための原因究明の方法
1 原因究明は犯人捜しとは違う
2 原因究明の習慣がない
3 報告書を見た上司が困惑
4 人間は注目した箇所だけ認知する
5 人間は3年たつと忘れる
6 プロジェクトの半数は「失敗」
7 「失敗データベース」の落とし穴
8 失敗につながる未知の要因は5%
9 なぜなぜ分析や特性要因図の課題
10 失敗の原因を構成する要素を一覧可能に
11 担当領域以外に目を向ける
12 失敗原因を5ステップで追究
13 全ての失敗原因を抽出
14 抽出した失敗原因を集約する
15 失敗の原因を整理する
16 失敗原因の関連を時系列で分析
17 2次的な失敗原因を「真因」と誤解
18 再発防止策を蓄積・活用する

第2章 DXを失敗させる「10の真因」
ケース1 顧客拡大を狙ってセキュリティーレベルを下げたことで招いた失敗
(i) セブン&アイ・ホールディングス【7pay(セブンペイ)】
(ii)NTTドコモ【ドコモ口座】
ケース2 要望を柔軟に取り入れすぎたことで招いた失敗
(iii) みずほフィナンシャルグループとLINE【LINE Bank】
(iv)ダイニングイノベーション【ブルースターバーガー】
ケース3 パンデミックなどの経済変化を軽視したことで招いた失敗
(v)三菱UFJフィナンシャル・グループ【GO-NET】
ケース4 文化の違いを軽視したことで招いた失敗
(vi)OYO【OYO LIFE】
ケース5 技術力の過信で招いた失敗
(vii)MTGOX【マウントゴックス】
(viii)コインチェック【Coincheck】
ケース6 委託先への仕様丸投げで招いた失敗
(ix)野村証券「ラップ口座の刷新」
(x)旭川医科大学「病院情報管理システム」

第3章 失敗しないDX組織にする方法
1 公開情報からみたDXの主な失敗原因
2 失敗学から考察するDXの失敗原因
3 DX特有の事象はあるのか
4 <失敗原因予測シート>の利用方法
5 DXに必要な知識の習得に向けて
6 失敗しないDX組織にする方法

あとがき

ISBN:9784296202607
出版社:日経BP
判型:A5
ページ数:184ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2023年06月
発売日:2023年06月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJ