出版社を探す

チャイナ・イノベーションは死なない

著:李 智慧(Li Zhihui)

紙版

内容紹介

「2024年 3 月、米連邦議会下院は T i k T o k の国内での利用を禁止できる法案『外国の 敵対勢力が管理するアプリから米国人を保護する法律』を可決した。親会社バイトダンス に対し、 6 カ月以内に T i k T o k を米国企業に売却しなければ、米国内でのアプリ提供・維 持・更新などを禁止するとしている。 法案が施行されるためには、上院での可決と大統領の署名が必要だ。法案の行方によっ ては、 T i k T o k が撤退に追い込まれる可能性も出てきた」(本書第2章「世界展開を急ぐバイトダンス(字節跳動)」から)

通信機器や先端半導体などで火を噴いた米中ハイテク戦争は、ますます激化する様相を深めている。先端半導体の輸出制限の中で、2023年8月、華為技術(ファーウェイ)が7ナノという高精細半導体を調達して最新スマートフォン「Mate 60Pro」を発売して世界を驚かせた。
中国テクノロジー研究の第一人者である著者が、ベールに包まれたファーウェイの技術開発の現地取材を含め、米国の技術封鎖の中で国産技術の開発に注力するハイテク企業群の現況を明らかにする。

目次

序章  米中「ハイテク戦争」の最前線
      「Mate60 Pro」発売と孟晩舟事件
       米国の制裁を乗り越えたファーウェイ
       TikTok使用禁止法案が米下院で可決
     ChatGPTの利用を規制した中国政府
      社会実装能力とマネタイズ能力で追う中国テック企業
      データで攻勢に出る中国の戦略
      二分される世界、加速するイノベーション、日本の選択
第1部 イノベーションの主戦場
第1章 現地で見たファーウェイ(華為技術)復活
 最新鋭機種「Mate60 Pro」と新型EV「問界M7」
 新興EVメーカーと共同開発した「新型問界M7」がヒット
 自動車の「頭脳」を作る
 アンドロイド、iOSに次ぐ第三極をめざす「ハーモニー」
 最悪の事態に備えた長期戦略
 「ノアの方舟」として用意された「2012実験室」
 1社で世界のテック大手に挑む
 徹底した企業理念の浸透
 社員食堂に貼られた1枚のポスター
第2章 世界展開を急ぐバイトダンス(字節跳動)
 人気があるから標的に
 Musical.ly買収が転機
 世界初の完全モバイルAIカンパニー
 【コラム】主要国のTikTok規制の概要
 再び標的となったTikTok
 諸刃の剣? TikTok包囲網
 第2ステージへ
第3章 急成長するチャイナ生成AI
AI世界大会に400社
 熱狂の「百モデル戦争」
 急成長の要因
 中国生成AIの三つのタイプ
 AI開発における中国の競争力
 AIサービスの産業への実装

  ファーウェイの「盤古」基盤モデル:「AI for Industries」
  百度、アリババ、テンセントのMaaS型ワンスップサービス
  標準化と生成AIサービス管理暫定弁法
  米中の狭間で
第2部 ハイテク分野の「鉄のカーテン」とチャイナ・イノベーション
  第4章 技術包囲網の突破に挑む中国
       屈服したZTE、反撃するファーウェイ
       35のボトルネック技術とCHIP4による中国包囲網
       「石器時代にまで戻す」
       米系資本の撤退
       デジタル技術分野の米中比較
       技術封鎖の突破に挑む
       ボトルネック技術の約6割が解消
       もはや抑え込めない
  第5章 米中が激突する大技術競争時代
       アリソン報告
       衛星測位システム・北斗
       【コラム】屈辱の銀河号事件から生まれた技術
       GPSを上回る北斗の先進性
       太陽光発電で世界をリード
       高付加価値ハイエンド製品へのシフト
  第6章 分断されるテクノロジー勢力圏
       デジタルサービスの分断
       蜜月だった米中投資関係の終焉
第3部 デジタル・チャイナの現在地
  第7章 デジタル技術を使った社会管理の光と影
       ゼロコロナ政策からの転換
       オミクロン株に敗れたゼロコロナ政策
       健康コード
       場所コードと行程コード
       活動人口4000万人・上海市のコロナ攻防戦
       広州から始まったゼロコロナ政策の転換
       ビッグデータを使った国民行動コントロールの功罪
   第8章 デジタル化が牽引する経済成長
        先端デジタル技術のショールームだった杭州アジア大会
        デジタル技術による産業変革が加速
        国家戦略としての「デジタル中国」建設
        GDPの名目成長率を上回る伸び
        産業デジタル化が牽引役
        デジタルインフラが要
        デジタルインフラ建設はなぜ重要か
   第9章 データ大国路線をひた走る中国
        データ戦略の推移
        データ・ガバナンスの強化
        データ・ガバナンスと外資系企業
        【コラム】中国(上海)自由貿易試験区によるデータ越境規制の緩和措置
        データ価値化を牽引する国家データ局
        「インターネット+<プラス>から「データ要素×<掛ける>」へ
        【コラム】データの相乗効果を読み解く
        企業データの連携基盤としての「星火BIF」
        データの基本制度の整備
        データ取引所が相次いで開設
   結論 
      中国テック企業の盛衰
      新たな主役が登場
      チャイナ・イノベーション「2・0」への転換
      デジタル敗戦の日本
      撤退する企業、関与を強める企業

著者略歴

著:李 智慧(Li Zhihui)
野村総合研究所エキスパート。中国福建省出身。中国華東師範大学卒業、商社勤務の後、神戸大学大学院経済学研究科国際経済専攻博士前期課程修了。大手通信会社を経て2002年に野村総合研究所に入社。専門はデジタルエコノミー、メガテックのビジネスモデルと戦略、フィンテック、ブロックチェーンやAIなどの先端企業の事例研究など。著書に『チャイナ・イノベーション2 中国のデジタル強国戦略』、『チャイナ・イノベーション データを制する者は世界を制する』(ともに日経BP)。

ISBN:9784296001811
出版社:日経BP
判型:4-6
ページ数:272ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2024年04月
発売日:2024年04月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TBC
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:KC