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学術叢書

フランス公衆衛生史

19世紀パリの疫病と住環境

著:大森 弘喜

紙版

内容紹介

19世紀半ば、「世界一美しく衛生的な首都」に変貌したパリの実態とは――
現代日本人の主たる関心の1つは「健康」であるが、1世紀前のヨーロッパでは、疫病への反応として「衛生」が社会の関心事であった。本書では、19世紀フランスの都市住環境の劣悪さ、そこにおけるスラムの形成、コレラ・結核・腸チフスなどの疫病、その被害が集中した貧民街の生活環境を、パリについて観察する。また、例外的に高い死亡率を記録し続けたフランスの結核や、公衆衛生の改善と深く関連する水回り事情に関しては、とくに詳細に検討する。伝染病と貧困、インフラ整備と階級性などを広く論じる本書は、公衆衛史研究の穴を埋めるだけでなく、社会福祉・経済学・西洋思想史においても示唆に富むものとなっている。

目次

序 問題の所在と分析視角
第1章 一九世紀パリの「不衛生住宅」問題
第2章 一八三二年パリ・コレラと「不衛生住宅」
第3章 一九世紀中葉における肺癆の流行
第4章 肺癆をめぐる病因学説
第5章 「国民病」としての結核―第三共和政前期のパリにおける結核蔓延―
第6章 結核の予防と治療
第7章 パリの給水事業と衛生
第8章 パリの下水道事業と衛生
第9章 不衛生住宅の衛生化法
第10章 住宅改革の思想と運動―低廉住宅の誕生―
総括と展望
文献リスト
索引

著者略歴

著:大森 弘喜
大森弘喜(おおもりひろよし)  1945年 茨城県水戸市に生まれる/1964年 水戸第一高等学校卒業、横浜国立大学入学/1968年 同大学卒業、東京都立大学大学院経済政策専攻科入学/1976年 同大学院修了、関東学院大学経済学部 専任講師着任/1983年~85年 パリ大学ソルボンヌ留学/1997年 博士(経済学)取得(東京大学)/2003年~ 成城大学経済学部教授著書:『国家と経済―フランス・ディリジスムの研究―』(共著) 東京大学出版会 1982年/『地域と国家―フランス・レジョナリスムの研究―』(共著) 東京大学出版会 1992年/『世界史大系 フランス史 3』(共著) 山川出版社 1995年/『20世紀資本主義の生成―自由と組織化―』(編著) 東京大学出版会 1996年・『フランス鉄鋼業史』 (単著) ミネルヴァ書房 1996年/『アソシアシオンで読み解くフランス史』(共著) 2006年

ISBN:9784284104135
出版社:学術出版会
判型:A5
ページ数:616ページ
定価:9200円(本体)
発行年月日:2014年05月
発売日:2014年05月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MBN