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ベートーヴェンの第9交響曲

分析・演奏・文献

著:ハインリヒ・シェンカー
訳:西田 紘子
訳:沼口 隆

紙版

内容紹介

本書は、オーストリアの音楽理論家ハインリヒ・シェンカー(1868-1935)が、ベートーヴェンの第9交響曲を分析した研究書の全訳である。印象批評を廃し、楽譜を読み込むことで作品の内容を解き明かしていく著者の姿勢は、本書を読んだ若き日のフルトヴェングラーにも深い感動を与えた。楽曲分析とはどのような作業か?分析した結果を実際の演奏に生かすにはどうすればよいか?分析を誤るとどういう結論に導かれるのか?本書は読者にさまざまなことを教えてくれる。
 原書の出版は1912年であるが、現在に至るまで「第9」全4楽章の楽曲構造をこれほど詳細に分析した書物はほかに見当たらない。さらに分析結果を踏まえた具体的な演奏の手引きと、主要な文献への批判も充実している。批判の対象となったワーグナーやワインガルトナーの著述から適宜引用がなされているので、彼らの「第9」観も同時に見えてくる。日本語版の翻訳は、シェンカー研究者とベートーヴェン研究者の2人でおこなっている。多数の訳注に加え、巻頭の「日本語版のための凡例」「シェンカーの用語集」、巻末の「シェンカーの著作一覧」「解題」を読めば、本書の理解がさらに深まるだろう。450を超える多数の譜例についても原書の誤りを訂正し、第2・4楽章でシェンカーが独自に付している小節番号には、より一般的な楽譜の小節番号を併記した。
 専門の研究者はもちろん、「第9」を演奏してみよう、聴いてみようとするすべての人にお勧めする一冊。

ISBN:9784276130289
出版社:音楽之友社
判型:A5
ページ数:408ページ
定価:4800円(本体)
発行年月日:2010年03月
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AVL