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アジ研選書 35

アジアにおける海上輸送と中韓台の港湾

編:池上 寛

紙版

内容紹介

グローバリゼーションの進展はヒト、カネ、モノの移動に影響を与えている。また、グローバリゼーションによって、多くの企業が海外に進出することになった。とくに、製造業では国を越えた国際分業体制を整え、世界中から原材料や部品を調達し、生産活動をおこなうようになっている。この生産活動を支えるのが国際物流であり、製造業の国際分業体制の確立は効率的な国際物流体制が確立してはじめて成立する。この国際物流がおこなわれる輸送手段としては、陸上輸送、航空輸送、そして海上輸送の3手段が考えられる。そのなかでも、海上輸送はもっとも多くの物資の輸送をおこない、国際物流の中心であるといっても過言ではない。また、海上輸送は船舶によっておこなわれ、船舶は港湾に接岸する。その意味で、海上輸送は船舶と港湾なしでは成り立たない。とくに、港湾は整備されなければ、効率的な陸上作業ができない。効率的な作業体制が整ってこそ、製造業に従事する企業から貨物を集めることが可能である。また、効率的な陸上作業がなければ、船舶が寄港しない。効率的な国際物流をおこなうためには、港湾やそれに関係する施設などインフラの整備は必須条件である。
今では港湾の貨物取扱い上位にはアジアにある港湾が多くランクされている。このことはアジアにおける港湾が整備され、発展した結果とみてよい。そのアジアにおける海上輸送の現状はどうなっているのか、あるいはアジアの主要港湾での現状や課題を検討することは、国際物流を考えるうえで重要な課題のひとつであるといってもよい。

目次

まえがき

序論 研究目的とその成果 / 池上 寛
 はじめに
 第1節 研究会の問題意識
 第2節 先行研究と研究成果、得られた知見
 おわりに-今後の課題として

第1部 アジアの海上輸送に関する現状
第1章 アジアにおける海上輸送の現状分析 / 黒川 久幸
 はじめに
 第1節 世界の海上輸送量と船腹量
 第2節 世界のコンテナ荷動き量とコンテナ船の就航状況
 第3節 国・地域および港湾別のコンテナ取扱量とコンテナ船の就航状況
 第4節 鉄鉱石および原油の輸送状況と港湾の動き
 おわりに

第2章 船社の東アジア域内での運営戦略 / 春山 利廣
 はじめに
 第1節 東アジアの荷動き量と日本の港
 第2節 東アジア域内の配船パターン
 第3節 運賃水準と運航コスト 
 第4節 船社の基本戦略
 まとめにかえて

第2部 北東アジアの主要港湾に関する現状と課題
第3章 中国北部主要港の発展過程と競合状況 / 小島 末夫
 はじめに
 第1節 全国沿海港湾に占める環渤海地区港湾群の位置づけと再編動向
 第2節 コンテナ船の貨物増大と港湾拡張・寄港回数
 第3節 主要バルク貨物の取扱量拡大と埠頭整備
 おわりに

第4章 中国長江デルタ諸港の現況と課題 / 大西 康雄
 はじめに
 第1節 長江デルタ地区港湾の近況と課題
 第2節 各港湾の総合評価と相互関係
 第3節 長江デルタ海運企業の現状と課題
 おわりに

第5章 香港港の現状と香港系グローバル・ターミナル・オペレーターの戦略的展開 / 姜 天勇
 はじめに
 第1節 珠江デルタにおける主要港湾の概況
 第2節 香港港の現状
 第3節 香港系GTOの戦略的展開
 おわりに

第6章 北東アジアのハブ港をめざす釜山港の戦略と現状 / 李 貞和
 はじめに
 第1節 韓国の港湾政策と釜山港
 第2節 釜山港の管理運営の民営化
 第3節 港湾における後背地と釜山港
 おわりに

第7節 三通解禁以後の台湾と中国における海上輸送と港湾の変化 / 池上 寛
 はじめに
 第1節 データからみる中台間海上輸送の変化
 第2節 台湾側港湾の取扱貨物
 第3節 三通以後の台湾における港湾の変化
 おわりに

著者略歴

編:池上 寛
池上 寬 日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター企業・産業研究グループ長代理
黒川久幸 東京海洋大学海洋工学部教授
春山利廣 東海大学海洋学部非常勤講師
小島末夫 国士舘大学 21 世紀アジア学部教授
大西康雄 日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター上席主任調査研究員
姜 天勇 大阪市立大学商学部特任講師

ISBN:9784258290352
出版社:アジア経済研究所
判型:A5
ページ数:222ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2013年11月
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KNG
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:TRL