放射線のものさし
続 放射線のひみつ
著:中川 恵一
内容紹介
このままでは、事故の教訓を
残せないのではないか?
私は何をし、何を語ってきたのか?
何をどう語るべきだったのか?
チーム中川、この一年半の軌跡
昨年12月、政府によって福島原発事故の収束宣言はなされたが、
いまだ、被ばくへの恐怖や不安は、人々の心身と暮らしをおびやかしているし、
放射性物質に汚染された地域の復興には、多くの課題が残されている。
──「「放射線のものさし」を持つことが一番大事だと痛感します。そして、リ
スクをできるだけ正しく計った上で、各自が選択した意思決定を、お互い尊重す
ることも大切です。避難を続けることがいけないわけでもありませんし、できる
だけ早く故郷に帰りたいという住民の気持ちを理解することも大事です。日本人
が安全派と危険派に分断されてお互いを傷つけ合う構図はまさに最悪です。」
[著者のメッセージ]
「がんを専門とする医師として、放射線を熟知する研究者として、福島と日本がこの危機を乗
り越えるために、いくつか提案があります。
①リスク・コミュニケーションに予算をつけること。
②健康診断の実施と、親身な健康相談を維持するために、医師と看護師の拡充が必要。
③住民の声にならない声を聴く必要がある。住民主体の体験型学習の場を用意すること。
④福島第一原発の作業員に継続した支援が必要。
⑤被ばくと発がんについて、最低限の知識をもってもらうように働きかけること。
⑥現時点での福島県のがん罹患率を算出しておく必要がある。
⑦高齢者の甲状腺がんの「過剰診断」を、福島県民に理解してもらうこと。
⑧福島の子どもたちへの放射線教育。
⑨国が、福島県の実状(とくに作業現場と避難人の実態)を、責任を持って全国民に正確
に広報すること。
⑩飯舘村などの自治体に、ある程度の裁量権を与えること。
⑪県民一人ひとりに「放射線のものさし」を持ってもらい、各自の意思決定を尊重するこ
と。」(本文より)