微生物の事典 新装版
新装版
編:渡邉 信
編:西村 和子
編:内山 裕夫
内容紹介
《本書は『微生物の事典』(2008年刊)を底本として刊行したものです》 微生物学全般を概観することができる総合事典。微生物学は,発酵,農業,健康,食品,環境など応用にも幅広いフィールドをもっている。本書は,微生物そのもの,あるいは微生物が関わるさまざまな現象,そして微生物の応用などについて,丁寧にわかりやすく説明する。
目次
Ⅰ 概説――地球・人間・微生物
1 微生物学の歴史 
1.1 ヒトと微生物の出会い
1.2 微生物学の発展に寄与した人々
2 地球と微生物
2.1 微生物の進化史
2.2 地球と微生物の共進化
2.3 地球の資源と微生物
3 微生物の分類と系統
3.1 微生物の分類と命名
3.2 ウイルスの系統分類
3.3 細菌の系統分類
3.4 古細菌の系統分類
3.5 真菌の系統分類
3.6 原生動物の系統分類
3.7 真核微細藻類の系統分類
4 微生物の分離・培養・保存 
4.1 分 離
4.2 培 養
4.3 保 存
5 分子生物学におけるモデル生物としての微生物 
5.1 モデル微生物としての大腸菌
5.2 出芽酵母
5.3 クロレラとクラミドモナス
Ⅱ 発酵と微生物
1 食品生産に関わる微生物 
1.1 発酵食品に関わる微生物
1.2 酒類に関わる微生物
1.3 健康食品
2 機能物質生産微生物
2.1 医薬品
2.2 農薬・家畜薬
2.3 酵素生産
2.4 化粧品
2.5 食品関連分野
3 バイオコンバージョン(生物変換)に関わる微生物
3.1 はじめに(ステロイド誘導体)
3.2 理論,方法論
3.3 応 用
3.4 代謝工学
Ⅲ 農業と微生物
1 作物と微生物 
1.1 土の中の微生物とその働き
1.2 根粒菌
1.3 Frankiaによる共生窒素固定
1.4 菌根菌と植物の共生関係
1.5 エンドファイト
1.6 葉面微生物
1.7 拮抗微生物を利用した病害防除
2 植物の病害と微生物
2.1 植物の病害
2.2 植物病原微生物
2.3 主要な植物の病害
2.4 植物病害の診断
2.5 植物と病原微生物の相互作用
2.6 植物の保護
2.7 植物病原微生物の利用
3 家畜病原微生物 
3.1 家畜の病原微生物と伝染病
3.2 家畜の病原ウイルス
3.3 家畜のプリオン
3.4 家畜の病原細菌
3.5 家畜の原虫
3.6 家畜の常在性病原体
3.7 家畜伝染病の防除
4 畜産と微生物 
4.1 ルーメン微生物
4.2 飼料の微生物汚染
4.3 畜産物の微生物汚染
4.4 サイレージ微生物
5 昆虫と微生物 
5.1 昆虫の微生物研究の歴史
5.2 昆虫の糸状菌病
5.3 昆虫の細菌病
5.4 昆虫のウイルス病
5.5 昆虫の原生動物による病気
5.6 昆虫寄生性線虫
5.7 昆虫が媒介する動物・植物の病気
5.8 昆虫共生微生物の種類とその特徴
5.9 共生微生物の宿主への影響
5.10 昆虫関連微生物の利用
6 水産と微生物  
6.1 餌料微生物(餌料プランクトン)
6.2 貝毒プランクトン
6.3 病原微生物
7 農業環境と微生物 
7.1 農地から派生する窒素,リン酸による環境汚染と微生物
7.2 農地から発生する温室効果ガス(メタン,亜酸化窒素)と微生物
7.3 共生微生物を利用した荒廃土壌の回復
7.4 農畜産廃棄物,生ごみのリサイクルと微生物
7.5 土壌微生物による農薬の分解
Ⅳ 健康と微生物
1 健康を左右する腸内細菌叢の構成とプロバイオティクス
2 健康・病気に関与している常在菌の構造と機能
2.1 免 疫
2.2 アレルギー
2.3 コレステロール代謝
2.4 が ん
2.5 潰瘍性大腸炎
2.6 腸管感染症
2.7 歯周病疾患
3 体内常在菌のコントロール
3.1 発がん物質の排泄
3.2 インフルエンザ感染予防
3.3 接着機構と腸内細菌のコントロール
Ⅴ 食品(貯蔵・保存)と微生物
1 食品微生物
1.1 食品の細菌
1.2 食品の真菌(カビ・酵母)
2 食品の腐敗 
2.1 腐敗とは
2.2 腐敗微生物
2.3 腐敗による食品の変化  
2.4 腐敗の判定
3 食中毒
3.1 食中毒の歴史
3.2 腐敗と食中毒
3.3 食中毒微生物
3.4 食中毒微生物の検出と計数
4 予測微生物学
5 食品の保存法
5.1 食品保存の歴史
5.2 低温貯蔵
5.3 乾燥・塩蔵
5.4 有機酸による食品の保存
5.5 加熱による食品の保存
5.6 食品保存料
5.7 その他の保存法
6 ハードルテクノロジー 
7 食品の衛生管理
7.1 GMP(適正製造規範)
7.2 HACCPシステム
7.3 食品法規
Ⅵ 病気と微生物
1 世界的規模の感染症 
1.1 ウイルス感染症
1.2 細菌感染症
1.3 原虫症
1.4 性感染症(STD)
1.5 輸入真菌症
2 日和見感染症と新興・再興感染症
2.1 日和見感染症
2.2 新興・再興感染症
3 幼稚園・学校保健で問題となる感染症
3.1 伝染性ウイルス感染症
3.2 虫 歯
4 微生物の危険性と取扱い
4.1 バイオセーフティの確保―病原微生物の危険度分類と安全取扱い
4.2 感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)
Ⅶ 環境と微生物
1 物質循環に関わる微生物
1.1 C循環
1.2 N循環
1.3 S循環
2 水質汚染に関わる微生物
2.1 陸水環境を汚染する微生物
2.2 海洋環境を汚染する微生物
2.3 飲料水を汚染する微生物
3 生物多様性の減少と微生物
3.1 スイゼンジノリ(絶滅危惧Ⅰ類種)
3.2 ビンタマカビ
3.3 タンポポ浮腫病菌
3.4 シイノキ類葉ぶくれ病菌
3.5 シンジュタケ
4 環境汚染(汚濁)の指標と診断に関わる生物 
4.1 環境指標生物
4.2 生物検定用微生物
5 バイオエネルギーに関わる微生物 
5.1 メタンの酸化
5.2 水素生成
5.3 石油生成
6 環境浄化・修復に関わる微生物 
6.1 環境浄化・保全微生物
6.2 バイオレメディエーション(環境修復微生物)
Ⅷ 生活・文化と微生物
1 生活環境と微生物
1.1 室内空気
1.2 ダスト
1.3 衣 類
1.4 寝 具
1.5 生活用家電製品
1.6 住 宅
1.7 結露と微生物
1.8 抗菌製品・抗菌剤
1.9 微生物汚染と制御
1.10 公共施設と微生物
2 ペットと微生物 
2.1 ペットのウイルス病と予防
2.2 ペットの細菌病と予防
2.3 ペットの原虫病と予防
3 文化遺産と微生物
3.1 文化財保存科学と微生物
3.2 文化財の微生物被害の実態
3.3 微生物被害の対策
4 微生物による材料の劣化と防御 
4.1 微生物による建築木材の腐朽
4.2 レンズに発生するカビ
4.3 微生物によるコンクリートの劣化
Ⅸ 新しい微生物の利用と課題
1 新たな微生物機能の活用 
1.1 難培養微生物
1.2 ミニマムゲノムセルファクトリー
1.3 メタゲノム
1.4 DNAシャフリング
1.5 バイオフィルム
1.6 バイオプロセス
2 極限環境と微生物資源 
2.1 好熱菌
2.2 低温微生物
2.3 好圧性微生物
2.4 好アルカリ性菌
2.5 好酸性菌
2.6 好塩菌
2.7 放射線抵抗性細菌
2.8 深部地下環境
3 微生物利用に関わる安全性や知財権への取組み
3.1 バイオテロリズム
3.2 生態系―バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書について
3.3 植物検疫および動物検疫
3.4 知財権―ブダペスト条約を中心に
3.5 生物多様性条約―遺伝資源へのアクセスと利益配分の国際ルール
索 引