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サップ西成自伝 奪還 「大阪最強の半グレ」と呼ばれた男

著:サップ西成
著:アンディ南野

紙版

内容紹介

大阪の「西成」で生まれ育った私は貧困による飢えに苦しむ。古い世代の大阪市民なら「当たり前」の話だが、西成は力が序列を決定する弱肉強食の世界だった。生き抜くために私は暴力を覚えていく。高校進学など考えられない状況の中で、恩師と柔道と出会う。柔道の才能が私に進学の道を開いてくれた。ところが私は、そこから2度も逃げ出してしまう。
こうして私は所在もなく、ケンカに明け暮れる放埒の日々を送る。そんな私が地下格闘技に流れ着いたのは、自然な流れだったのかもしれない。その時、私に与えられたリングネームが「サップ西成」である。
元アスリートとして街のケンカ屋相手に当たり前のように勝利を重ねる私だったが、ある時、大阪に新たな地下格団体ができる話を耳にする。その団体は「やんちゃ」な選手が集まる地下格でありながら、プロの登竜門を目指すという。
そのコンセプトに強い共感を覚えた私は、自ら志願して、その大会に飛び込んだ。ド派手なプロモーションと選手ファーストの融合によって、大会は瞬く間に成長した。網膜剥離で選手を離れた私は運営会社の社長に就任する。
1つの大会の出場選手が約50~60人、会場のキャパは約2000人──まさに「日本一」の地下格大会だ。ところが間尺に合わない巨大さがアダになっていく。繁華街で大会の関係者を名乗る犯罪が横行していったからだ。
当時、世の中では関東連合に象徴される「半グレ」が社会問題となっていたことで、大会は関西最大の「半グレ」と認識されてしまう。
もはや大会を開催することも難しくなり、消滅に追い込まれる。
その時、関西に進出してきたのが前田日明氏率いる地下格大会「THE OUTSIDER」だ。過去の遺恨も手伝って、窮した私は「THE OUTSIDER」会場に乱入し、前田氏を襲撃した。
逮捕、長期勾留を経て私が選んだのは「関西最強の半グレ」と呼ばれるようになった「サップ西成」との別離だ。飲食店経営者として格闘技とは無縁の長い沈黙の時間を過ごす。
そんな私に突然訪れたのが、SNSが生み出した「現代の地下格」、「Breaking Down」への出場である。人気コンテンツへの露出によって、SNSでは「サップ西成」の過去が都市伝説を伴って拡大し、独り歩きしていった。
このままでは私は過去に潰されてしまう。そこで沈黙を破ってすべてを明らかにすることにした――
(「はじめに」より)

著者略歴

著:サップ西成
1977 年6 月生まれ。大阪府西成区出身。高校無償入学に惹かれて中学1 年の後半から柔道を始め、すぐに府大会最上位に。宮崎県の鵬翔高校に入学後、中学時代の井上康生と稽古をする。高校を中退し、10 代後半からアマ修斗を始めるが、すぐに頭角を表すもケガで一度目の引退。29 歳で大阪地下格闘技大会『喧王』に参戦し、階級別王者に。自身も大阪で地下格闘技大会の運営、プロモートを始め全国最大の大会に成長させる。2013 年3 月に、警察から大会が「半グレ」認定されたため、運営会社を解散。選手としても引退。同年9 月に前田日明襲撃事件を首謀し、逮捕される。2018 年に大阪府住之江区に居酒屋「左福」を開業。2022 年には大阪の超一等地、北新地で「福」をオープンする。2023 年、約10 年間の沈黙を経てリングに復帰し、『BreakingDown』に参戦。格闘家としての余生を楽しむ一方で、後進の育成、プロモートに邁進している。
著:アンディ南野
1979 年2 月10日、大阪府大東市出身。若い頃からけんかに明け暮れる「孤高の喧嘩師」と呼ばれる。28 歳のとき、格闘技デビュー。地下格闘技「喧王」で2 度優勝。2019 年の選挙では腕っぷしを買われて故安倍晋三元首相の警護を務めた。毎週木曜、金曜には天満警察署と大阪市の要請で、北新地のパトロールを行い、違反者を摘発している。盟友・サップ西成氏の処女作である『奪還』をプロデュースした。

ISBN:9784198657994
出版社:徳間書店
判型:4-6変
ページ数:208ページ
定価:1900円(本体)
発行年月日:2024年03月
発売日:2024年03月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VS