出版社を探す

文芸書

底惚れ

著:青山文平

紙版

内容紹介


斬新な江戸ハードボイルド時代長編!
一作ごとに進化し続ける青山文平の語り口に酔いしれる!

女への思いにかられながら、はぐれ者だった男が、一途に自分を刺した女の行方を求める。女を捜す方便として、四六見世という最底辺の女郎屋を営みながら、女が現れるのを待つという仕儀を薦めてくれたのは、路地番の頭・銀次だった。ビジネス成功譚の側面と、女への思いを貫く純愛を縦線として、物語はうねり、意外な展開をみせる魅力的な時代長篇。

主人公は、村の生活に染まれず、欠け落ちた江戸で、すでに四十を過ぎた。一季奉公のまま、江戸にも染まぬ男たちは当時、大勢居た。根岸にある小藩の屋敷で奉公中、ご老公のお手つき女中・芳の故郷への道連れを命ぜられる。…旅の途中、訳あって芳に刺されるが、一命を取りとりとめる。自分を殺したと思い込んで、行方の知れない芳を探すために、彼女が来る可能性のある江戸の場末・入江町で最低の女郎屋を営む。はぐれ者として生きてきた切見世暮らしの男が7軒の楼主となる。商売は繁盛し、厚綿の布団を貸す損料屋にも手を出し、成功を治めるがーー。
2020年に刊行された短編集『江戸染まぬ』所収の「江戸染まぬ」を長編化。

著者略歴

著:青山文平
1948年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。経済関係の出版社に18年勤務したのち、フリーライターに。2011年『白樫の樹の下で』で第18回松本清張賞を受賞。江戸中期の武士の存在感が希薄になる時代、懸命にもがき生きる人々を描き注目される。新しい時代小説の可能性を、削ぎ落とし、余情に富んだ文体で示した。実は1992年に、第18回中央公論新人賞を受賞し、選考委員の吉行淳之介を唸らせたという実力者。評論家の島内景二氏は青山文平を60歳を超え遅れてきた麒麟児と呼んで期待している。2014年、『鬼はもとより』で第152回直木三十五賞候補[5]。同作で第17回大藪春彦賞受賞。2015年、『つまをめとらば』で第6回山田風太郎賞候補、第154回直木三十五賞受賞。

ISBN:9784198653767
出版社:徳間書店
判型:4-6
ページ数:272ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2021年11月
発売日:2021年11月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ