NHK出版新書 588
コケはなぜに美しい
著:大石 善隆
紙版
内容紹介
静寂と風情をつくる植物の、たくましく奥深い生き方。
新進気鋭の研究者がユーモラスかつ真面目に綴る、コケ入門の決定版!
コケは厳しい自然環境に耐え、あるときは健気に、
またあるときはたくましくしたたかに生きている。
こうしたコケの生き方は、困難に耐えたり、
あるいは葛藤を抱えたりして生活するわたしたちヒトの生き方と妙に重なるときがある。
これに気がつくと、ちょっぴりコケに親近感さえ感じてしまう。
場合によっては、コケの生き方に励まされた、
なんてこともあるかもしれない。――本文より
初期の陸上植物の面影を残す植物、コケ。花を咲かせず地味な存在と思われがちだが、その清楚でみずみずしい姿は「わび・さび」に代表される日本の美意識に深く関係し、生き方に目を凝らせば、環境に応じて変幻自在にスタイルを変える知恵が満載だ。
岩や樹木になぜ生える?「苔のむすまで」はどれくらい?
コケを愛してやまない気鋭の研究者が、200点以上の美しいカラー写真とともに語る、小さなコケの壮大な物語。各章間の小話も充実!
目次
序章 なぜにコケは美しい
都市の章 健気に、時にしたたかに
庭園の章 コケが醸し出す「わび・さび」の風情
農村の章 のどかな土地の熾烈な戦い
里山の章 運命に抗わず、コツコツと生きる
深山の章 細く長く生き、森の主役に
高山の章 厳しさがコケを強くする
水辺の章 柳のようにしなやかに
味わう章 五感でコケを感じる
終章 小さなコケが教えてくれること