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若冲の世紀

十八世紀日本絵画史研究

著:佐藤 康宏

紙版

内容紹介

商品経済が発達し、画譜の出版によってアマチュア画家が活躍した18世紀。「複製技術の時代」ともいえるこの時期、視覚文化はいかに変容したのか。江戸絵画の頂点をなす若冲と京都画壇の画家たちの創造力の源泉、そして作品が共有する構造に迫る。【東京大学出版会創立70周年記念出版】

目次

はじめに

第一章 十八世紀京都画壇――ひとつの概観
 一 複製技術の時代の個性
 二 造物主としての画家――指頭画と酔作
 三 肉体の顕現――筆勢とデフォルメ 
 四 隠れる肉体――應舉の冷たい眼 
 五 蘆雪の〈反動〉 

第二章 明末蘇州派と十八世紀京都画壇
 一 前史――狩野山雪と岩佐又兵衛
 二 彭城百川と池大雅
 三 與謝蕪村
 四 圓山應舉 

第三章 初期南画の絵画論――荻生徂徠から池大雅まで
 一 はじめに
 二 荻生徂徠
 三 服部南郭
 四 祇園南海
 五 柳澤淇園
 六 池大雅

第四章 真景図と見立て――池大雅「箕山瀑布図」を起点に
 一 真景図
 二 池大雅「箕山瀑布図」
 三 〈日本/自然〉対〈中国/文化〉
 四 古文辞派の絵画、見立ての興亡 

第五章 藍の時代の大雅――三十代から四十代への画風展開
 一 大雅三十代の画業――「密林草堂図」に触れつつ
 二 藍の時代の大雅――淡彩表現の可能性
 三 「蘭亭曲水図」と「李白詩意図」――メトロポリタン美術館所蔵の屛風二点

第六章 遠景の色―大雅の山水画における白描と青緑
 一 はじめに――淡彩・水墨/金碧・青緑・白描 
 二 擬古的な技法、そして文人画の作域としての白描と青緑山水
 三 青緑山水の機能――「沈香看花・楓林停車図」と「龍山勝会図」を例に
 四 結語 

第七章 蕪村が謝寅になるまで
 一 漢流に擬す
 二 「十便十宜図」とその後

第八章 雅俗の都市像――與謝蕪村「夜色楼台図」
 一 京都市民蕪村
 二 考察の視点
 三 雅俗の交錯
 四 都市図としての「夜色楼台図」
 五 結語――虚実の街

第九章 若冲における模写の意義
 一 粉本と模写
 二 模写と変容

第十章 若冲の鶏
 一 はじめに
 二 言葉が鶏を導く
 三 鶏のイメージが成長する
 四 「仙人掌群鶏図」――墨と色との融合

第十一章 市場の画家―伊藤若冲「動植綵絵」
 一 経済の発達がもたらすストレス、市場をめぐる事件
 二 「動植綵絵」の細密描写
 三 「動植綵絵」の不自然さ
 四 自然の喪失と回復

第十二章 若冲の水墨画
 一 初期の水墨画――墨と色との交錯と乖離
 二 鹿苑寺大書院障壁画
 三 水墨略画――灰色の質感
 四 「果蔬涅槃図」とその後

第十三章 黒い光の中、舟は二都の縁を巡る――伊藤若冲「乗興舟」
 一 はじめに――若冲の旅、若冲の版画
 二 「乗興舟」の現状
 三 異版の問題
 四 風雅の真景、陰画の都市図

第十四章 蕭白新論
 一 蕭白登場
 二 蕭白悪戯
 三 蕭白横行

第十五章 横断する龍――曾我蕭白「雲龍図」
 一 考察の起点
 二 陳容と蕭白
 三 龍の失墜、「雲龍図」における不完全な復権

第十六章 蛇玉山人のこと
 一 伝記
 二 「蘿園雅集図」
 三 初期作品と鯉魚図
 四 「雪夜梅鴉松兎図」

第十七章 松林山人のこと

第十八章 大首絵というモード――歌麿と冩樂
 一 歌麿と冩樂の略伝
 二 大首絵まで 
 三 歌麿の大首絵
 四 冩樂の大首絵

著者略歴

著:佐藤 康宏
東京大学名誉教授

ISBN:9784130802277
出版社:東京大学出版会
判型:A5
ページ数:824ページ
定価:13000円(本体)
発行年月日:2022年03月
発売日:2022年03月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AFC
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ