岡潔 多変数解析関数論の造形
西欧近代の数学への挑戦
著:高瀬 正仁
内容紹介
数学をどのように見るか? さまざまな発見に彩られた岡の歩みは,数学に多大なる影響を与え,いまなお未解決の問題として数学者を魅了し続ける.「多変数解析関数について」という通し標題をもつ彼の9つの論文を中心に据え,多変数関数論の形成過程を解き明かす.
目次
まえがき
序 章 レビの問題からハルトークスの逆問題へ
1 ベンケとトゥルレンの著作『多複素変数関数の理論』より
2 レビの問題
3 ハルトークスの逆問題
4 ハルトークスの逆問題の解決のプログラム
第1章 有理関数に関して凸状の領域におけるクザンの第1問題
1 上空移行の原理
2 有理多面体におけるクザンの第1問題
3 有理関数に関して凸状の領域におけるクザンの第1問題
4 第1論文を回想して
第2章 正則領域におけるクザンの第1問題
1 全般的な準備事項
2 関数Rj(x1) (j = 1,2,. . . ,ν )
3 多重形成体Σの凸性
4 正則領域におけるクザンの第1問題
5 第2論文を顧みて
第3章 岡の原理
1 クザンの第1問題とクザンの第2問題
2 クザンの第2問題の非解析的な解
3 クザンの第2問題の解析的な解
4.岡の原理の印象
第4章 有理関数に関して凸状の領域と正則領域
1 領域の分類
2 有理凸状ではない正則領域
3 第4論文の前後の諸状勢の回想――領域の分類からハルトークスの逆問題へ
第5章 コーシーの積分とヴェイユの積分
1 コーシーの積分からヴェイユの積分へ
2 解析的多面体の微小変形
3 正則領域とヴェイユの積分
4 ヴェイユの積分からハルトークスの逆問題へ
5 第4論文と第5論文の公表まで
第6章 有限単葉領域におけるハルトークスの逆問題
1 問題の造形まで
2 関数の分解法を求めて
3 カルタンの意味で疑凸状の領域
4 ハルトークスの逆問題を解く
5 ハルトークスの逆問題への道
6 第6論文が『東北數學雑誌』に掲載されるまで
第7章 不確定領域の正則イデアル
1 回想と展望
2 3つの問題――イデアルの概念の萌芽を拾う
3 不確定領域の正則イデアル(不定域イデアル)
4 問題(K)の解決をめざして
5 2つの第7論文――原テキストと初出テキスト
第8章 内分岐領域における上空移行の原理
1 内分岐領域への道を開く
2 不確定領域の幾何学的イデアル
3 内分岐領域
4 基本的な補助的命題とその応用
5 第8論文の成立まで
第9章 内分岐点をもたない有限領域におけるハルトークスの逆問題
1 回想と展望
2 第8論文の諸命題への量的補足
3 擬凸状領域
4.擬凸状関数
5 ハルトークスの逆問題を解く
6 他の諸問題
7 第9論文の前後
岡潔について
テキスト
岡潔公表論文目録
学術誌一覧
文献表
数学者人名表
Kiyoshi Oka
Shaping the Theory of Analytic Functions of Several Variables:
Challenge to Modern Mathematics in Western Europe
Masahiko TAKASE
ISBN:9784130613132
。出版社:東京大学出版会
。判型:A5
。ページ数:552ページ
。定価:9400円(本体)
。発行年月日:2020年06月
。発売日:2020年06月01日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBK。