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日本の鰭脚類

海に生きるアシカとアザラシ

編:服部 薫

紙版

内容紹介

海のけものたち――アシカやアザラシなどは海に生きる食肉類,つまりクマやネコの仲間である.かれらはどんな動物なのか,そしてヒトとはどのような関係なのか.鰭脚類の進化,生態,生理,猟業や獣害問題などについて,第一線で活躍する研究者たちが詳述する.

目次

序 章 日本に生息する鰭脚類(服部 薫)
    1 鰭脚類とは
    2 日本に分布する鰭脚類


第I部 進化と歴史

第1章 鰭脚類の系統――その起源と進化(米澤隆弘)
    1.1 鰭脚類の起源
    1.2 鰭脚類の進化

第2章 鰭脚類の適応進化(甲能直樹)
    2.1 化石記録から見た鰭脚類の系統進化と適応放散
    2.2 鰭脚類の適応進化過程
    2.3 鰭脚類各科の適応進化
    2.4 アシカ上科とアザラシ科の適応進化のパターン

第3章 鰭脚類と考古学(内山幸子)
    3.1 鰭脚類とのかかわりを示す考古資料
    3.2 鰭脚類とのかかわりに見る時期的変遷と地域性
    3.3 鰭脚類の価値


第II部 生態と生理

第4章 回遊する鰭脚類――キタオットセイ(三谷曜子)
    4.1 回遊とは
    4.2 キタオットセイの生活史
    4.3 回遊を調べる手法
    4.4 成長によって変化する回遊
    4.5 日本近海に来遊するキタオットセイ
    4.6 北海道日本海沿岸で注目されるようになったキタオットセイ

第5章 定住する鰭脚類――ゼニガタアザラシ(小林万里)
    5.1 「定住性」が高いゼニガタアザラシ
    5.2 北海道のゼニガタアザラシの遺伝的な特徴
    5.3 生息環境によって異なるゼニガタアザラシの行動圏
    5.4 上陸場をめぐる競争
    5.5 特定の良質の餌場への執着――レッド個体
    5.6 漁網への依存個体
    5.7 ゼニガタアザラシの社会性

第6章 潜水とエネルギー(鈴木一平)
    6.1 潜水行動と生態系
    6.2 潜水行動とエネルギー
    6.3 今後の課題

第7章 音声コミュニケーション(水口大輔)
    7.1 鰭脚類の繁殖様式と音声コミュニケーション
    7.2 鰭脚類の音声レパートリー
    7.3 鰭脚類の聴覚
    7.4 音声学習
    7.5 音を用いた応用研究と今後の課題

第8章 鰭脚類の食性(後藤陽子)
    8.1 鰭脚類の食性研究
    8.2 北海道における鰭脚類の摂餌生態の特徴
    8.3 鰭脚類の摂餌戦略


第III部 資源と管理

第9章 海獣猟業と資源管理――キタオットセイ(清田雅史)
    9.1 オットセイの生物学的特徴
    9.2 資源開発と乱獲の歴史
    9.3 国際管理体制の構築
    9.4 動物保護と環境保全へのパラダイムシフト
    9.5 現在のオットセイ個体群と管理の状況
    9.6 オットセイの歴史からなにを学ぶか

第10章 鰭脚類の保護と管理――ゼニガタアザラシ(羽山伸一)
    10.1 法律のはざまにいたアザラシ類
    10.2 生物多様性条約と種の保存法
    10.3 鳥獣保護法の対象種へ
    10.4 海洋環境の変化と被害の増加
    10.5 スコットランドのアザラシ管理
    10.6 希少動物を管理する
    10.7 今後の展開

第11章 鰭脚類と漁業――トド(山村織生)
    11.1 巨大な厄介者
    11.2 漁業被害とは
    11.3 漁業被害はなぜ増えたのか
    11.4 被害対策としての採捕
    11.5 根室海峡のトド
    11.6 非致死的な被害対策
    11.7 管理方策変更その後

終 章 鰭脚類研究へのいざない(服部 薫)
    1 鰭脚類に関する書籍
    2 鰭脚類を研究する
 
あとがき


Pinnipeds in Japan:
Sea Lions and Seals Living in the Ocean
Kaoru HATTORI, Editor

著者略歴

編:服部 薫
北海道区水産研究所グループ長

ISBN:9784130602396
出版社:東京大学出版会
判型:A5
ページ数:278ページ
定価:6900円(本体)
発行年月日:2020年07月
発売日:2020年07月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSVM