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学校運営と父母参加

対抗する《公共性》と学説の展開

著:葛西 耕介

紙版

内容紹介

公教育への親の参加の思想や学説は、日本ではどのように展開してきたのか。その日本的固有性はどこにあるのか。学校運営への父母参加をめぐる思想的系譜・法的論争を5つの《公共性》の対抗を軸にかつてないスケールで透視する。PTA、コミュニティ・スクール、学校参加制度はどうあるべきなのか。公教育における親の位置、教育における私事性と公共性、さらには我々の市民社会のいまを考える基盤となる労作。

目次

本書のはじめに――学校運営への父母参加の必要性
第1章 本書の主題と理論的枠組み 
第1節 公教育法制に関する研究諸領域における「親」
第2節 教育法制における「親」
第3節 本書の解明主題
第4節 研究の方法と本書の視角

第2章日本における「教育権」概念の展開――その享有主体に焦点をあてて 
第1節 1945年から1950年代半ばの展開――主権としての「教育権」
第2節 1950年代半ばから1980年代半ばの展開――国民の「教育権」とその諸相
第3節 1980年代半ば以降の展開――親の「教育権」の隆盛と分岐

第3章父母の学校運営への参加を導く原理――「親権」と「親の教育権」との統一をめぐって  
第1節 憲法学における「親の教育権」論
第2節 戦前の民法学における「親の教育権」論
第3節 戦後の民法学における「親の教育権」論
第4節 民法学における「親の教育権」の不在の思想的背景
第5節 私法・公法関係の理解と5つの《公共性》論
第6節 「親権」と「親の教育権」との統一としての教育法学

第4章 1950年代から1980年代の父母の学校参加論 
第1節 5人の学説が登場するに至る社会的・理論的状況
第2節 《国家的公共性》に対抗する諸学説
第3節 制度論への昇華

第5章 《公共性》論の動態と1980年代半ば以降の諸政策および諸学説――「拒否権」と「学校選択権」 
第1節 体制側とマルクス主義の公共性論の変容
第2節 新自由主義の登場と各《公共性》間の対抗の変容
第3節 1980年代に見られる各《公共性》と憲法・教育行政学説   

第6章 1980年代以降の父母参加制度論――2つの「参加権」
第1節 父母の学校運営への参加と学校自治論
第2節 慣習法的制度論――学校自治内部でのPTA活用論
第3節 実定法的制度論その1――内外区分論肯定説
第4節 実定法的制度論その2――内外区分論否定説
第5節 日本教職員組合の父母参加制度論
第6節 実定法的制度の成立――学校運営協議会制度とそれを支える思想

第7章 《公共性》をめぐる思想対抗の日本的固有性――《国民的公共性》をめぐって 
第1節 日本における自由主義思想の所在
第2節 日本における《国民的公共性》の探求
第3節 公教育分野における左派の《国民的公共性》=福祉国家論

本書のおわりに――本書が解明したこと

謝辞
あとがき

著者略歴

著:葛西 耕介
愛知県立大学教育福祉学部准教授

ISBN:9784130562386
出版社:東京大学出版会
判型:A5
ページ数:640ページ
定価:11000円(本体)
発行年月日:2023年04月
発売日:2023年04月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JND