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予測がつくる社会

「科学の言葉」の使われ方

編:山口 富子
編:福島 真人

紙版

内容紹介

地震予知,市場予測,技術評価,人口予測など,科学技術的手法を取り入れた予測は,現代社会のさまざまな領域に深く浸透している.本書では,諸領域における予測がどのようにして社会をつくるのか,その見えざる過程を明らかにし,予測と社会の複雑かつ多面的な関係性を考察する.

目次

第1章 過去を想像する/未来を創造する(福島真人)
 1 過去を想像する
 2 未来を創造する
 3 結論――未来へのリテラシー

I 未来を語る――期待の社会学

第2章 未来の語りが導くイノベーション――先端バイオテクノロジーへの期待(山口富子) 
 1 未来への期待
 2 イノベーションへの期待
 3 ゲノム編集技術への期待の高まり
 4 期待の高まりのメカニズム
 5 結論――誰による期待か/誰による予測か

第3章 未来をつくる法システム――DNA型鑑定への期待と失望(鈴木 舞)
 1 期待と社会
 2 DNA型鑑定への期待と失望――アメリカの事例 
 3 DNA型鑑定への期待と失望――日本の事例
 4 期待・失望・実践の背景
 5 結論――法システムによる予測

第4章 防災における「予測」の不思議なふるまい(矢守克也)
 1 「予測」が外れることをねらう
 2 「予測」を既成事実化し先取りする
 3 「予測」を言葉にしつつ実現してしまう
 4 結論――「予測」の不思議なふるまい

II 未来のエコロジー――予測モデルの動態

第5章 感染症シミュレーションにみるモデルの生態学(日比野愛子)
 1 モデルの基盤
 2 感染症のモデルをつくる
 3 強力な武器同士の協力?――感染症介入政策に数理モデルが活用された事例
 4 数理モデルのエコロジー
 5 結論――予測モデルの感染前夜

第6章 語りと予測の生む複雑さ(橋本 敬)
 1 複雑さの起源――「作用するもの」と「作用されるもの」の分離不可能性
 2 「語り」の作用を複雑系科学から読み解く
 3 ミクロとマクロの相互作用の構成論的検討
 4 結論――複雑系科学からみた予測

第7章 過去に基づく未来予測の課題――確率論的地震動予測地図(鈴木 舞・纐纈一起)
 1 地震を予測すること
 2 確率論的地震動予測地図をめぐる論争
 3 予測の検証をめぐるダイナミズム
 4 結論――地震に関する予測の課題

III 未来をつくる――予測モデルと政策

第8章 政策のための予測を俯瞰する(奥和田久美)
 1 予測と目的
 2 政策のための予測活動
 3 予測活動を行う主体とスタイル
 4 予測すべき対象
 5 政策的意図を持った将来予測の特徴
 結論――変化への感度と対応力

第9章 規制科学を支える予測モデル――放射線被ばくと化学物質のリスク予測(村上道夫)
 1 リスクの予測
 2 自由主義とパターナリズム
 3 リスクと安全
 4 リスクと基準値
 結論――新しい形の基準値

第10章 予測と政策のハイブリッド――日本の経済計画における予測モデルと投資誘導(ソン・ジュンウ)
 1 経済予測の二面性
 2 経済計画の「基本問題」――予測のズレ
 3 「誘導」――予測の新しい問題
 4 計量経済モデルの「整合性」――誘導の新しい手法
 結論――未来記述と発話行為が交わるところ


Simulation, Prediction, and Society:
The Politics of Forecasting
Tomiko YAMAGUCHI and Masato FUKUSHIMA, editors.

著者略歴

編:山口 富子
国際基督教大学教養学部教授
編:福島 真人
東京大学大学院総合文化研究科教授

ISBN:9784130561204
出版社:東京大学出版会
判型:4-6
ページ数:312ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2019年02月
発売日:2019年02月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PD