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国書がむすぶ外交

編:松方 冬子

紙版

内容紹介

東・南シナ海域における前近代の外交の現場を,多種多様な一次史料を明確に実証し新しい世界史像に迫る.特別な様式を持たない国書という文書とは何かを正面から問い直し,さらに多様な通航証の実例を明らかにすることによって国書との関係性を読み解く.実態から考察する外交の世界史の描き方に挑む.

目次

総 論 国書がむすぶ外交――一五-一九世紀東・南シナ海域の現場から和文脈の世界史をさぐる(松方冬子)

第一部 国書の世界

第一章 別幅と誤解された勅書――日明関係における皇帝文書をめぐって(橋本 雄)
第二章 豊臣期南蛮宛て国書の料紙・封式試論(清水有子)
第三章 一八世紀末から一九世紀前半における「プララーチャサーン」――ラタナコーシン朝シャムが清朝および阮朝ベトナムと交わした文書(川口洋史)
第四章 一五,一六世紀の教皇庁における駐在大使制度――「生きている書簡」による外交(原田亜希子)

コラム1 「国書」という語を考える(木村可奈子)
コラム2 天正二〇年の小琉球宛て豊臣秀吉答書写(岡本 真)
コラム3 徳川将軍の外交印――朝鮮国王宛て国書・別幅から(古川祐貴)
コラム4 一八世紀後半王朝交代期におけるシャムの対清国書(増田えりか)

第二部 国書の周辺としての通航証

第五章 運用面からみた日明勘合制度(岡本 真)
第六章 明代後期の渡海「文引」――通商制度史的分析からの接近(彭 浩)
第七章 勘合とプララーチャサーン――田生金「報暹羅國進貢疏」から見た明末のシャムの国書(木村可奈子)
第八章 朱印船時代の日越外交と義子――使節なき外交(蓮田隆志)

コラム5 日明勘合底簿の手がかりを発見!(橋本 雄)
コラム6 一五-一八世紀ドイツの旅と通行証(山本文彦)
コラム7 植民地の旅券制度――オランダ領東インドにおける移動の自由と旅券(吉田 信)

Correspondence between Crowns:
Diplomatic Practices in the China Seas, 1400-1850
MATSUKATA Fuyuko, Editor

著者略歴

編:松方 冬子
東京大学史料編纂所教授。博士(文学)(東京大学)。東京大学史料編纂所助手、同助教授、同准教授を経て現職。同海外史料室にて『日本関係海外史料 オランダ商館長日記』の編纂に従事。主要著作に『オランダ風説書と近世日本』(東京大学出版会、2007年、角川源義賞歴史研究部門受賞)、『オランダ風説書―「鎖国」日本に語られた「世界」』(中公新書、2010年)、『別段風説書が語る19世紀―翻訳と研究』(編、東京大学出版会、2012 年)、『日蘭関係史をよみとく(上) つなぐ人々』(編、臨川書店、2015年)、『国書がむすぶ外交』(編、東京大学出版会、2019年)、『一九世紀のオランダ商館』上・下(共編、東京大学出版会、2021年)、『洋学史研究事典』(共編、思文閣出版、2021年)などがある。

ISBN:9784130203081
出版社:東京大学出版会
判型:A5
ページ数:360ページ
定価:6400円(本体)
発行年月日:2019年02月
発売日:2019年01月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPS