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悪魔の細菌

超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い

著:ステファニー・ストラスディー
著:トーマス・パターソン
著:テレサ・H・バーカー

紙版

内容紹介

か弱い細菌ごときの策略に引っかかるなんて、思ってもみなかった。


私は大陸を股にかけて殺人ウイルスを追跡し、AIDSに対する戦争を仕掛けてきた。ある時は戦いの最前線に立ち、ある時は世界規模での政策立案に携わる人々と議論のテーブルを囲みながら。そう、ウイルスは恐るべき存在だった。では、細菌は? 大した敵ではない。少なくとも、この細菌は恐れるに値しない相手のはずだった。


私は感染症を専門とする疫学者だ。アメリカの大きな大学で国際保健研究所の所長も務めている。他の誰でもなく私こそ、この細菌から自分の夫を守ることができてしかるべきだった。最後にこの細菌を見たのは、大学院に入る前の学部生時代のことだ。私たち学生は、研究室での初歩的な実験で、この細菌を気軽に扱っていた。いつの日か、この細菌の変異体がお前たちを死の淵に追いやり、お前はそのうち、殺し屋ウイルスの大群を注射して夫を救おうとする……。当時、誰かにそう言われていたら、私は相手の頭がおかしくなったのかと思っただろう。だが今、私たちはまさにその言葉通りの状況を迎えていた。              ――本書より

著者略歴

著:ステファニー・ストラスディー
公衆衛生学者、疫学者。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部教授。本書の題材となったファージ療法の考案経験から、現在、同大学で「革新的ファージ応用・治療研究センター」の長を務める。『タイム』誌により「ヘルスケアにおいて最も影響力の大きい人物50 名」に選出。
著:トーマス・パターソン
進化社会学者、心理学者。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校精神医学科教授。貧困地域等でのフィールドワークにより、エイズウィルスへの感染リスクを高める行動を明らかにした。統合失調症患者の生活機能を評価する国際的基準を確立し、二十六の言語に翻訳される。本書の執筆においては、闘病中の回想部を担当。
著:テレサ・H・バーカー
ジャーナリスト。医師・研究者らのインタビューや、専門家との共著による書籍執筆を得意とする。共著を担当したノンフィクション書は『ニューヨーク・タイムズ』紙等で高い評価を受けており、ウォールストリートジャーナル紙で「今年のノンフィクション書10 選」に選ばれた実績を持つ。

ISBN:9784120054037
出版社:中央公論新社
判型:4-6
ページ数:416ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2021年02月
発売日:2021年02月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:MJ