小学館101新書
ともいきの思想
自然と生きるアメリカ先住民の「聖なる言葉」
著:阿部 珠理
紙版
内容紹介
アメリカ先住民の思想に漲る「言葉のパワースポット」
現代日本はエゴをふりかざして他者への配慮を忘れた人たちで溢れています。そんな日本人の心のお手本となるのが、アメリカ中西部に暮らす先住民たちの「ともいき(共生)の思想」です。
サウス・ダコタ州の先住民ラコタ族には、持っているものを人々に与え尽くす「ギブ・アウェイ」という儀式が現在も残っています。親や親族が亡くなって一年の喪があけた時や子どもたちが大学を卒業した時などに行なわれるこのギブ・アウェイでは、毛布やクッション、鍋釜の類の日用品までさまざまなギフトを広げておくと、100人を超える人々が風の便りを聞きつけて集まってきて、それぞれ好みの品物を持ち帰ります。しかし、ギフトは不思議と不足せずに行き渡ります。なぜなら、彼らは準備された量に見合った慎みをもってギフトを手にしていくからです。「人生は人智を超えた出来事の連続である。大いなるものの意志は調和に満ちており、小さなエゴを捨てれば何の不都合も生じない」――これが彼らの人生哲学なのです。
ラコタ族の保留地に20年以上通い続ける、アメリカ先住民研究の第一人者である阿部珠理・立教大学教授が、現地で出会った「聖なる言葉」の数々を紹介します。