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小学館文庫

遠ざかる家

著:片山 恭一

紙版

内容紹介

人生という「なぞなぞ」に正解はあるのか?

語り手は、一人暮らしを続ける四十七歳歯科医・和也。実家の父親の看病を名目に妻は不在、大学生になる二人の息子も家を出ている。三歳になるアメリカン・ショートヘアと自適の生活を続けていたが、NHKに勤務する兄・靖彦がアルコール依存症のため緊急入院したことから、物語は動き出す。記憶のなかに留まる、ゼラニウムを描いた一枚の油絵を発端に、入院先の病室から問わず語りに幼少期の記憶を紐解いていく兄。
やがて、その絵は、彼ら兄弟の亡き父が描いたものであることへと逢着する。そして、ゼラニウムとともにその絵に描かれていた少女は、戦時中に五歳で亡くなった叔母であった。同じく五歳で亡くなった彼らの妹と同じ、明子という名の――。
物語終盤。愛娘を過剰に守ろうとするあまり、兄・靖彦は心を乱し、自身の家族を軟禁しての先の見えない小旅行へと事態は発展する。兄の行方を突き詰め、対話を試みる和也。そのなかで、和也は、無自覚にひた隠してきた自身の持つ生の不全感のルーツに思い至る。


【編集担当からのおすすめ情報】
四十余年の歳月。記憶の死角が仕掛けた「謎」。そこに執着する兄弟--。
「世界の中心で、愛をさけぶ」の作者の新境地となるミステリー・テイストの長編です。

ISBN:9784094087680
出版社:小学館
判型:文庫
ページ数:288ページ
定価:571円(本体)
発行年月日:2012年11月
発売日:2012年11月06日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ