小学館文庫
グラウンドキーパー狂詩曲(ラプソディ)
著:大石 直紀
紙版
内容紹介
公園管理事務所をめぐり人生模様が乱舞する
『スポーツ施設の管理業務・時給八百五十円・勤務地はあなたの住む近くの市営スポーツ施設。やりがいのある仕事と楽しい仲間が待ってます!』最近は鳴かず飛ばずの元ベストセラー作家・石田真二は、生活費を稼ぎながら執筆の時間も持てるのではないかと、求人コピーにつられビル管理会社の扉を叩く。「指定管理者制度」で市営公園の管理を委託されている会社は、すぐにアルバイトとして真二を採用。しかし真二は自分が小説を書いているということは申告しなかった。勤務第一日目、真二が公園の管理事務所に顔を出し目にしたのは、出勤するなり退勤時刻までタイムカードに記入してさっさと帰ってしまう古参職員の姿だった。管理会社の担当者からは、近々リストラを計画していると聞かされていた真二だったが、ずっとここでアルバイトを続けていったものかと心が揺れる。そんなとき殺人事件で使用された自転車が公園内から発見され、第一発見者である真二はいやがおうでも渦中に巻き込まれていく。さらに二十年前に起きた役所での収賄事件も絡んで、思った以上に複雑な管理事務所内での人間模様が真二の目にも映ってくるのだった。