小学館文庫
一九七二年のレイニー・ラウ
著:打海 文三
紙版
内容紹介
「恋愛小説を書いてみたいと思うなら、あなたが〈出逢えなかった人〉について書けばいい。厄介な生々しい現実から遠く離れた地点に、恋愛小説はかろうじて成立するのだと思う」(「あとがき」より) 香港で別れた女性レイニー・ラウに主人公が25年ぶりに再会を果たす表題作をはじめ、借金の取立てに訪れたやくざと主婦の危険な関係を描いた「花におう日曜日」、著者自身が色濃く投影された書き下ろしの「ここから遠く離れて」など、珠玉の恋愛小説を全8編収録。解説は打海文三作品を愛してやまない書評家の池上冬樹氏。唯一無二の小説世界を哀惜の念とともに詳述する。