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逆説の日本史

逆説の日本史 22 明治維新編 西南戦争と大久保暗殺の謎

著:井沢 元彦

紙版

内容紹介

「維新の英雄」はなぜ自滅の道を選んだのか

『週刊ポスト』誌上で四半世紀以上にわたって連載中の、作家・井沢元彦氏による歴史ノンフィクション『逆説の日本史』。文庫22巻より、いよいよ明治時代に突入します。
第一章「明治維新編」と第二章「明治政府のグランドデザイン編」では、維新を成し遂げた明治新政府面々の奮闘ぶりを紹介。
続く第三章「明治六年の政変編」では、維新の立役者である大久保・木戸と西郷・板垣の深刻な対立に発展した明治六年の政変と、その原因となった「征韓論」についてわかりやすく解説しています。
第四章「サムライたちの反抗編」は、悲運の男・江藤新平と佐賀の乱についての考察。
そして第五章「サムライたちの反抗編2」では、西南戦争における“最強”西郷軍敗退の謎に迫ります。
なお今回巻末に「補遺編」として、『逆説の日本史』第一巻の刊行以降に判明した歴史的発見を踏まえ、これまでの『逆説』の訂正や付記も収録しています。

目次

新生国家建設への道1
第一章/明治維新編─近代国家へと踏み出す「廃藩置県」の断行
明治新政府の首都を「大坂」から「東京」に変更させた一通の「投書」/朱子学が生み出した「昔は女子は自由ではなかった」という誤解/なぜ「会津は新政府軍に負けてよかった」のか?/戦うことなく江差沖に沈んだ世界最大級の戦艦「開陽」の「運の無さ」/「コケおどし」の城「五稜郭」の設計者・武田斐三郎は山師にあらず/「版籍奉還」を抵抗無く行なうために大久保と木戸が仕掛けた「陰謀」/「主君」に対する最後の義理立てで「廃藩置県」に反対した西郷隆盛

新生国家建設への道2
第二章/明治政府のグランドデザイン編─日本の骨格作りと留守政府の奮闘
日本古来の「下の名で呼ぶ」習慣を無くさせた明治政府の「大改革」/通貨制度改革に取り組むことで「名を捨てて実を取った」大隈重信/大和朝廷以来の「土地は天皇のもの」を否定することになった地租改正/真の意味での「鉄道の父」伊藤と大隈が「鉄道建設」を最優先した真意/鉄道発展の礎となった「狭軌」と「枕木」を採用した「お雇い外国人」/近代建築の象徴「レンガ造り」工法が日本に根付かなかった理由/銅山横取りに公金横領―汚職まみれの新政府はそれでも有能だった!

新生国家建設への道3
第三章/明治六年の政変編─「征韓論」とは何だったのか?
日本と朝鮮半島の歴代国家の仲があまり良くない「根本理由」/「十分の勝ち」で近代化を否定してしまうことになった朝鮮の大不幸/西郷隆盛は本当に「征韓論者」だったのか?―板垣への手紙を読み解く/江華島事件の心情的原因となった「互いが互いを侮辱し合う関係」/勝海舟の証言「西郷は征韓論者じゃなかったよ」は信用できるか/「中国皇帝と日本天皇は対等」と認めさせた日清修好条規の意義/「突拍子もない西郷の征韓論」のイメージは情報操作で作られた!/「西郷は征韓論者だった」と岩倉が自らの公伝に記した真の理由/「西郷の遣韓中止」の裏に隠された「留守政府つぶし」という企て/薩長閥VS土肥閥の「明治六年の政変」に見られる「歴史の法則」/西郷の「自死願望」を政敵一掃に利用した「犯人」は誰だったのか?

新生国家建設への道4
第四章/サムライたちの反抗編─陰謀に散った不運の男・江藤新平
江藤新平が言論ではなく武力で戦おうとした「やむを得ぬ事情」/「明治新政府のキーマン」と言っても過言ではない江藤の功績/「江藤新平は佐賀の乱の首謀者ではない」という歴史上の事実/江藤を佐賀に帰郷せざるを得ない状況に追い込んだ「黒幕」の存在/「キョロマ」な男・岩村高俊を佐賀城に送り込んだ大久保の魂胆/死刑判決を言い渡され「動揺」した江藤は「腰抜け」だったのか?/大久保が「遺影デモ」を防ぐために使った「江戸時代の倫理」/不平士族の「ガス抜き」のために利用された台湾出兵と「私学校」/「政治家よりは軍人」と評される板垣のあせりが生み出した「奇策」/頑迷な朱子学国家朝鮮を覚醒させるには「ペリー方式」しかなかった/朝鮮宮廷が「統一新羅以来初の独立」を喜ばなかった理由とは?

新生国家建設への道5
第五章/サムライたちの反抗編2─「最強」の西郷軍はなぜ敗れたのか?
中央政府の腐敗ぶりが許せなかった萩の乱のリーダー前原一誠/「久光の腹心」大山綱良が中央政府に逆らい西郷に協力した不思議/鹿児島・私学校党の「暴発」の陰に内務卿・大久保の「陰謀」あり/西郷と大久保の意思疎通を妨げた「取り巻き」と「ホットライン」欠如/西郷軍が「九州一堅固な城」熊本城攻囲作戦を採用したのはなぜか?/不平士族たちを呼応させることに失敗した西郷軍の「戦略ミス」/皮肉にも西郷軍を滅亡へと導いた「熊本城焼失」の心理的影響/熊本城下だけでなく田原坂でも「体温低下」に悩まされた西郷軍/西南戦争の勝敗を左右した「羅紗の政府軍」と「木綿の西郷軍」/戦場における情報伝達手段でも西郷軍をリードしていた政府軍/死場所を鹿児島と定め政府軍の厳重な包囲網を突破した西郷/西郷を「無私の英雄」「悲劇の英雄」に仕立て上げた『西南記伝』/清廉な大久保が「汚職政治の頂点に立つ男」と誤解された悲劇/「国家建設に最も肝要な時間」を前に暗殺された大久保の無念

第六章/補遺編
江銅鐸はなぜ「舌」を抜かれたのか?―古代最大の謎を推理する/銅鐸に鋳込まれた「絵」は古代日本に固有文字があった証拠/「ケガレ」を水に流して生まれた「神道文明」の最高神・天照大神/日本民族が抱く「平和憲法が日本の平和を守った」という迷信/「死穢」という宗教タブーを「仏教」の導入で解決した日本人/「護憲派」による自衛隊員差別は『古事記』以来の悪しき態度/「憲法九条を守れ」と主張することは重大な人権侵害である/日本史を動かす大きな思想「言霊」が引き起こす深刻な事態/日本を戦争に引きずり込んだ「戦犯」朝日新聞はなぜつぶれないのか/日本の歴史は「ケガレ忌避」「言霊」「怨霊鎮魂」抜きに考えられない/歴史教科書の「憲法十七条」の記述に見られる歴史教育の欠陥/法的・倫理的規範を超える「話し合い絶対主義」は日本独自の「宗教」/「勝ち組」が「負け組」に名誉を譲る国の「和」と「怨霊鎮魂」/「卑弥呼の時代の邪馬台国は宇佐」という主張を撤回する理由/「神風は日本軍の勝利にほとんど貢献していない」という新結論/元寇の「神風」は勝因を「神の霊験」にせんがためのでっちあげ/史料分析の第一人者ですら判断を誤る「日本歴史学界の欠陥」/もう一度言おう―「自ら神となった」織田信長は天才である、と/なぜ徳川家康だけが「自ら宣言して神になる」ことに成功したのか?/「真田日本一の兵」との賛辞は討死した幸村への「はなむけ」なのか

ISBN:9784094066357
出版社:小学館
判型:文庫
ページ数:624ページ
定価:890円(本体)
発行年月日:2019年05月
発売日:2019年05月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ