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なぜ日本の若者は自立できないのか

著:岡田 尊司

紙版

内容紹介

ベストセラー『アスペルガー症候群』著者、最新話題作

親殺しが大きなニュースとはならなくなった日本。
増加し続ける思春期外来の患者たち。
日本の若者はいつからこんなに自立できなくなったのか!?
最新の研究で明らかになったその元凶は………
教師でもなく、親でもなく、日本の教育システムだった。

男女交際の仕方や、ラブレターを受け取ったときどうすべきかを、
学校で教えてくれる国がある。
大学進学よりも職業資格を重視する国もある。
そして日本のように長きにわたり英語・数学・国語・理科・社会の
5教科だけを偏重し続ける国もある。
こうした日本のやり方が、いかに若者の自立を妨げているのか!?
常に子どもの心の問題に立ち向かい続けている精神科医の最新にして衝撃的なリポートの数々。

さらに本書では近年の研究であきらかになった3つの人間のタイプー視覚空間型、聴覚言語型、視覚言語型を徹底解説。その人間のタイプごとに適した指導方法は全く異なることを立証しタイプごとの理想の教育方法を提言する。

2005年『脳内汚染』、2009年『アスペルガー症候群』などのベストセラーで、常に若者の心の問題と正面から向き合ってきた著者の、話題騒然の最新作。




【編集担当からのおすすめ情報】
いま日本が変わらないと、本当に手遅れになってしまうことがはっきりわかります。毎日、生きづらいと感じている人も、必読の書籍です。

目次

はじめに── なぜ若者は母親を殺さねばならなかったのか

第1章 こんなに優秀な人が、なぜ自立できないのか

知能検査の結果は超優秀の患者
社会に通用するかどうかを左右する統合能力
子どものニーズを無視した日本の教育
せっかく就職したのに、なぜ行き詰まるのか
「発達障害」と診断するだけでは解決しない
ペーパーテスト中心の教育の悲劇
低下する聞き取りの能力
社会不安や対人緊張も訓練で克服できる
子どもに必要なものが激変している
凋落し続ける日本の学力レベル


第2章 タイプを無視した子育てと教育の悲劇

人にはそれぞれ得意な情報処理の仕方がある
3つのタイプを知る大切さ
なぜ男子生徒はクラスで孤立したのか
視覚空間型の子どもの特性
まず応用ありき
視覚空間型の子どもに適した指導の仕方
視覚空間型の子に説教は通用しない
聴覚言語型の子どもの特性
視覚言語型の子どもの特性
MacとWindowsの違い
いっせいに話を聞く時間は短く、自分でやる時間を長く
自分の時間割は自分で決める
従来の子育て論と教育論の限界


第3章 子どもの特性を生かすことが、自立につながる

1 視覚空間型の子の自立
手のつけられない暴れん坊(M男の場合)
安藤忠雄の場合
スティーブ・ジョブズの場合
本田宗一郎の場合
2 聴覚言語型の子の自立
バラク・オバマの場合
聴覚言語型の自立を阻害する要因
3 視覚言語型の子の自立
台頭する視覚言語型
ビル・ゲイツの場合
井深大の場合
人付き合いの苦手な男性の独立(Sさんの場合)
視覚言語型の子の自立に向けた課題
社会的スキルのベースとなる共感性
二つ以上の特性が混じり合うことで、より特異な才能が生まれる


第4章 海外の教育から学ぶ

1 オランダの教育
成熟した個人主義社会オランダ
多様な教育の形
受験も塾も宿題もない
成績には順位をつけない
男女交際の仕方も学校で教える
日本の教育の「常識」は思い込みにすぎない
2 フィンランドの教育
学力世界一で注目されるフィンランド方式
子育てと家庭の時間を大事にする
習熟度別からグループ学習へ
学習とは社会的行為である
知識は発見し、創造するもの
総合制にこだわるフィンランド
「自律と発見」を重視した教え方
高校入試はなく、大学より専門学校が人気
世界屈指の語学力の秘密
経済的自立を意識した教育
もう一つの現実
3 ドイツの教育
4 イギリスの教育
失敗した教育改革
5 スイスの教育
若者の失業が少ない理由──驚くべき職業教育の充実ぶり
過度な競争は教育環境を悪化させる
総合学習の本家・イギリス
6 アメリカの教育
7 台湾の教育
8 韓国の教育
日本が今後歩むべき道は


第5章日本の教育は、なぜ子どもを伸ばせないのか

子どものニーズに合わなくなった日本型教育
講義暗記型教育の起源は
京都大学の挑戦
京大方式の挫折と東大方式の隆盛
上意下達の日本社会と画一化した教育
宮仕えの教育から企業家型の教育へ
三十年前に破綻している中学教育
進路別教育の可能性
自立という観点が乏しい日本の教育
五教科主義は、優等生たちの自立を助けているか?
社会的スキルの不足が、なぜこれほど問題になるのか
受験戦争と点数主義が生み出したもの
集団の多様性が、新たな可能性を生む


第6章 この国の再生は教育から

自立の失敗と学力低下の根底にある問題
実践的な能力とアカデミックな能力に優劣をつけない
統合能力を高める
競争ではなく助け合いを重視する
社会的スキルを高めるプログラムを導入する
SQトレーニングの体験
グループ単位の活動の有効性
主体性と責任を重視する
「みんな同じ授業」の固定観念を外す
発見型、実技型の学習を増やす
基礎学力は、検定方式で充実させる
ビジネスのプロを教育現場に招く
職業的自立を意識した教育
少人数クラスにし、教員の不足は多彩な人材を活用する
入試のあり方を根本から変える
口先ではなく、中身で、一人ひとりの特性を大切にする


おわりに── 子どもの特性を生かし、社会で通用する教育を

ISBN:9784093881616
出版社:小学館
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:1300円(本体)
発行年月日:2010年12月
発売日:2010年11月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JN