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講談社選書メチエ

快読 ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』

著:森 一郎

紙版

内容紹介

誰もがその名を知っているフリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年)の代表作『ツァラトゥストラはこう言った』(1883-85年)――哲学史上に燦然と輝く古典であるとともに、ドイツが生んだ屈指の文学作品でもあるこの大著は、しかし本書の著者が手がけた新訳(講談社学術文庫)でも500頁をはるかに超え、いわば峻厳な高山に喩えることができるでしょう。
若い頃にチャレンジしたけれど挫折した……、いつかは読んでみたいと思っているけれど分厚さにひるんでなかなか手にすることができずにいる……。読破するにはあまりにハードルが高い、でも「あらすじ」を知っただけでは何も分からない。そんなかたのために、「声に出して読める訳文」を掲げた画期的な新訳を完成させた著者が立ち上がりました。
目次をご覧になっていただければ一目瞭然、本書はこの大著を順番に、ていねいに読んでいきます。しかし、そこにあるのは、しかつめらしい「哲学読解」ではなく、時には現代の事象に触れながら講義形式で進められる「快読」の実践です。「神は死んだ」、「永遠回帰」、「力への意志」、「超人」……ニーチェの代名詞となっている数々の概念は、なぜ、どのようにして生み出され、展開されたのか? 文学作品であるがゆえに即座には受け取るのが難しいその道程を、一歩一歩、現在位置を確かめながら前進し、はるか高みにまなざしを向けながら高峰を目指していく。そんな親切で愉しいガイド役と歩む至高の経験を本書は実現しています。
山にこもっていたツァラトゥストラは、なぜ下界に降りて自説を語り始めたのか? それは私たちにとって、どんな意味をもっているのか? コロナ禍の中で行われた講義を元にした本書は、「今だからこそ」読みたい古典を、「今でなければ」読めない古典として紹介する、他に類を見ない最良のガイドブックです。
いざ、高峰を目指して!

[本書の内容]
まえおき――「神は死んだ」から始まる物語

I 第一部を読む――超人思想と徳
II 第二部を読む――力への意志説とペシミズム
III 第三部を読む――永遠回帰思想と孤独
IV 第四部を読む――同情問題と子どもたち

あとがき――コロナ禍でのニーチェ講義

目次

まえおき――「神は死んだ」から始まる物語

I 第一部を読む――超人思想と徳
1 「ツァラトゥストラの序説」
2 「三段階の変身」と「徳の講座」
3 「背後世界論者」と「肉体の軽蔑者」
4 「情熱にひそむ喜びと苦しみ」と「青ざめた犯罪者」
5 「読むことと書くこと」と「山に立つ樹」
6 「戦争と戦士」と「新しい偶像」
7 「市場のハエ」と「純潔」
8 「友」と「千の目標と一つの目標」
9 「隣人愛」と「創造者の道」
10 「老いた女と若い女」、「毒ヘビにかまれる」、「子どもと結婚」
11 「死の説教者」と「自由な死」
12 「惜しみなく与える徳」

II 第二部を読む――力への意志説とペシミズム
1 「鏡をもった子ども」と「至福の島にて」
2 「同情者たち」と「司祭たち」
3 「有徳者たち」と「汚い奴ら」
4 「毒ぐもタランチュラ」と「有名な識者たち」
5 「夜の歌」と「舞踏の歌」
6 「墓の歌」と「自己克服」
7 「崇高な人」と「教養の国」
8 「純粋無垢の認識」と「学者」
9 「詩人」と「大いなる出来事」
10 「占い師」と「救い」
11 「賢い世渡り法」と「最も静かな時」

III 第三部を読む――永遠回帰思想と孤独
1 「放浪者」と「幻影と謎」
2 「不本意な幸福」と「日の出前」
3 「卑小にする徳」と「オリーブ山にて」
4 「通り過ぎるということ」と「離反した者たち」
5 「帰郷」
6 「三つの悪」
7 「重さの地霊」
8 「新旧の石板」
9 「快復しつつある人」
10 「大いなるあこがれ」、「もう一つの舞踏の歌」、「七つの封印」

IV 第四部を読む――同情問題と子どもたち
1 「蜜の捧げ物」と「助けを求めて叫ぶ声」
2 「王たちとの対話」、「ヒル」、「魔術師」
3 「失業」
4 「最も醜い人間」
5 「進んで乞食になった人」、「影」、「正午」
6 「歓迎のあいさつ」と「晩餐」
7 「高等な人間」
8 「憂鬱の歌」、「学問」、「砂漠の娘たちのもとで」
9 「目覚め」と「ロバ祭り」
10 「夜の放浪者の歌」と「しるし」

あとがき――コロナ禍でのニーチェ講義

著者略歴

著:森 一郎
1962年、埼玉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京女子大学教授を経て、現在、東北大学大学院情報科学研究科教授。専門は、哲学。
主な著書に、『死と誕生』、『死を超えるもの』(以上、東京大学出版会)、『世代問題の再燃』(明石書店)、『現代の危機と哲学』(放送大学教育振興会)、『ハイデガーと哲学の可能性』(法政大学出版局)、『核時代のテクノロジー論』(現代書館)、『ポリスへの愛』(風行社)、『アーレントと革命の哲学』(みすず書房)ほか。
主な訳書に、ハンナ・アーレント『活動的生』、『革命論』(以上、みすず書房)、マルティン・ハイデガー『技術とは何だろうか』、フリードリヒ・ニーチェ『愉しい学問』、『ツァラトゥストラはこう言った』(以上、講談社学術文庫)ほか。

ISBN:9784065352335
出版社:講談社
判型:4-6
ページ数:512ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2024年03月
発売日:2024年03月14日