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講談社選書メチエ

黄禍論 百年の系譜

著:廣部 泉

紙版

内容紹介

アメリカが取り憑かれ続けてきた強迫観念―「アジア人が攻めてくる!」

中国が日本と結び、西洋世界へと牙を剥く。驚異的な人口のパワーに、欧米は飲み込まれてしまう……
こうした「黄色い禍」という強迫的観念は、日露戦争で日本がロシアに勝利したことをきっかけに生まれた。
そしてこの「人種主義的思考」は、西海岸に多くの日系移民が押し寄せたアメリカにおいてはとりわけ強く刻まれ、形を変えながら現在に至るまで、社会・政治のなかに脈々と息づき続けている。

「我々は白人種と交わることのない人々から同質な人々を作り出すことはできない」
―ウィルソン(第28代米大統領・国際連盟提唱者)が署名したアジア人移民排斥を訴える文書

「黒人はアフリカに、黄色人はアジアに、そして白人はヨーロッパとアメリカにいるべきだと強く思うんだ」
―トルーマン(第33代米大統領)が妻に送ったラブレター

コロナ禍によって黄禍論的思考はいまだ欧米社会に根を張っていることが明らかとなり、アメリカでは人種をめぐる対立がいまもってなお深刻であることが露となったいま、トランプ大統領を生み出したアメリカ社会に100年以上根づく「人種主義的思考」の歴史をひもとかなければならない。


【本書の内容】
東洋人の群れ ―「日中同盟」の悪夢
幻の「人種平等」 ―国際連盟設立と人種差別撤廃案、そして排日移民法
汎アジア主義の興隆と破綻
戦争と人種主義
消えない恐怖 ―冷戦下の日米関係
よみがえる黄禍論

著者略歴

著:廣部 泉
1965年、福井県に生まれる。東京大学教養学部卒業。ハーバード大学大学院博士課程修了。名古屋大学大学院環境学研究科助教授などを経て、現在、明治大学政治経済学部教授。Ph.D.(歴史学、ハーバード大学)。主な著書に、『人種戦争という寓話 黄禍論とアジア主義』(名古屋大学出版会)など。

ISBN:9784065209219
出版社:講談社
判型:4-6
ページ数:240ページ
定価:1650円(本体)
発行年月日:2020年09月
発売日:2020年09月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JBF