出版社を探す

講談社文芸文庫

稲垣足穂詩文集

著:稲垣 足穂

紙版

内容紹介


「さあこれから管を吹きます、何が出るか消えぬうちに御覧下さい」
――理屈つぽく夢想的な人々のための小品


日本文学の異才、その“詩性”を捉え直す


「詩的要素は多い」と認めつつ、「詩人」のレッテルを否定していた稲垣足穂。
それでも、詩やコントというべき独創的な作品群が数多く大正期の前衛詩誌に発表され、若い詩人たちに多様な影響を与えた。
一九二〇~三〇年代を中心に晩年まで並べられた稀有な作品集に、大正期から戦後を経て晩年に至るまでの詩論やエッセイを併載し、日本文学の異才の“詩性”を剔出する。


「大正期の前衛詩誌に発表された稲垣足穂の初期作品にはじまり、一九二〇~三〇年代を中心に晩年まで並べられた作品集はほかにない。(中略)そして、編者である中野嘉一は自身、足穂と同じく、詩の形式が根底から問い直されていた詩論の時代に生き、「モダニズム詩」の可能性を追い求めた当事者でもあった。彼の「前衛詩運動史」という歴史的観点から稲垣足穂の「詩」を捉え直そうとする意志にこそ、本書のもう一つの特色はある」(高橋孝次「序文」より)

著者略歴

著:稲垣 足穂
稲垣足穂(1900・12・26~1977・10・25) 小説家。大阪市船場生まれ。幼少期に兵庫・明石に移り、神戸で育つ。関西学院中学部卒業後、上京。飛行家、画家を志すが、佐藤春夫の知己を得て小説作品を発表。1923年、『一千一秒物語』を著す。新感覚派の一人として迎えらたが、30年代以降は不遇を託つ。戦後、『弥勒』『ヰタ・マキニカリス』『A感覚とV感覚』などを発表し、注目を集める。50年に結婚、京都に移り、同人誌『作家』を主戦場に自作の改稿とエッセイを中心に旺盛に活動し始める。69年、『少年愛の美学』で第1回日本文学大賞受賞、『稲垣足穂大全』全6巻が刊行されるなど「タルホ・ブーム」が起こる。

ISBN:9784065192771
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:352ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年03月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DC
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ