出版社を探す

漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一

著:小田部 羊一
著:藤田 健次

紙版

内容紹介

これが『なつぞら』のリアル。ドラマを超えた劇的ストーリー登場! 朝ドラ『なつぞら』でヒロイン奥原なつ(広瀬すず)のヒントとなった故・奥山玲子氏。同作でアニメーション時代考証をつとめた小田部羊一氏。ふたりは「おしどりアニメーター」として活躍したご夫婦です!

アニメーションの草創期を開拓した奥山さんと小田部さんの長く幅広い活動にスポットライトをあてた「ドラマを超えた劇的ストーリー」が満載。ふたりは「東映動画」を皮切りに、様々なスタジオ、様々な名作に関わり、それぞれが銅版画家として、任天堂ゲームキャラクターのデザイナーとしても活躍しました。本書は小田部さんに2回の超ロングインタビューを実施。様々ななエピソードが明かされます。さらに貴重な写真・イラストを80点以上掲載。

さらに、ご夫婦の人柄や業績を知る演出家やアニメーターたちに「ふたりとの創作と日常の舞台裏」をインタビュー。名作・傑作の創造の秘密や、東映動画の職場結婚・出産、共稼ぎの先駆者となった夫妻の知られざるエピソードがあふれ、「アニメーションの舞台裏」にとどまらず、今も昔も変わらない「働いて、生きることのリアル」が明かされます。

◆小田部羊一 ロングインタビュー
〔Part 1〕奥山さんのこと…「動画」と「童画」を」勘違いしてアニメーションの世界へ/毎日違う服/『太陽の王子ホルスの大冒険』/奥山さんの聞くもの、創るもの
〔Part 2〕東映動画のこと…日本画からアニメーションの世界へ/東映動画という学校
〔Part 3〕ふたりのこと…ペラっと/ダンスがきっかけ/いつも奥山さんが後押し
〔Part 4〕夫婦回顧…産休明けの母乳/『ハイジ』キャラクター誕生秘話/ぎっくり腰と『母をたずねて三千里』/『龍の子太郎』/ ほか

◆山下(中谷)恭子…寄稿「懐かしい奥山玲子さん」

◆勝間田具治…『アンデルセン童話 にんぎょ姫』作画監督 奥山玲子との仕事

◆ひこねのりお…妖しい踊りと結婚の告白

◆葛西治…『龍の子太郎』古巣に戻った夫婦を支えた東映動画スタッフ

◆池田宏…『空飛ぶゆうれい船』『どうぶつ宝島』からスーパーマリオの世界へ

◆宮崎(大田)朱美…奥山さんから続く女性アニメーターの路


◆奥山玲子(おくやまれいこ):1935年、宮城県仙台市生まれ。宮城学院高等学校卒業。東北大学教育学部中退。58年東映動画入社。『白蛇伝』動画、『わんぱく王子の大蛇退治』原画、『太陽の王子ホルスの大冒険』原画、『アンデルセン童話 人魚姫』作画監督、『龍の子太郎』作画監督補、『注文の多い料理店』原画。85年より東京デザイナー学院アニメーション科講師。88年より銅版画制作。

目次

◆小田部羊一インタビュー
〔Part 1〕”アニメーター”奥山さんのこと…「動画」と「童画」を」勘違いしてアニメーションの世界へ/毎日違う服、挑む同僚たち/『太陽の王子ホルスの大冒険』中傷画と鬼山さん/奥山さんの聞くもの、創るもの

〔Part 2〕”夢の工場”東映動画のこと…日本画からアニメーションの世界へ/東映動画での会社生活/東映動画という学校/

〔Part 3〕”パートナー”ふたりのこと…ペラっと/ダンスがきっかけ/いつも奥山さんが後押し

〔Part 4〕”夫婦回顧”さらに、ふたりのこと…長い道のりのスタート/産休明けの母乳/『ハイジ』キャラクター誕生秘話と25年目のスイス旅行/ぎっくり腰と『母をたずねて三千里』/”羊”と”玲”であんていろーぷ/日本文化と日本画を積極的に取り入れた『龍の子太郎』/強いけど、弱くてかわいい奥山さん/東京から京都へ。そして今にして思うこと。

同時代の仲間たちの寄稿とインタビュー
◆山下(中谷)恭子:寄稿 ♪芸術美術とわめいても 絵描きにゃまともな職もなく
 「懐かしい奥山玲子さん」

◆勝間田具治:『アンデルセン童話 にんぎょ姫』作画監督 奥山玲子との仕事
…実写からアニメの世界へ/『アンデルセン童話 にんぎょ姫』、今明かされる実写パートの秘密/『にんぎょ姫』での作画監督の奥山さんとの共同作業/短い制作期間で見せた現場の意地/改めて思う、奥山さんとの仕事/勝間田さんから見た、小田部さんと奥山さん

◆ひこねのりお 「妖しい踊りと結婚の告白」
…「おめでとう」が出会いの言葉/奥山さんからの突然の告白/『わんぱく王子の大蛇退治』、そして東映動画の思い出/ひこね夫妻から見た、小田部さんと奥山さん

◆葛西 治:『龍の子太郎』古巣に戻った夫婦を支えた東映動画スタッフ
…『龍の子太郎』が動き出すとき/2人を迎え入れた「準備室」/はじめて語られる『龍の子太郎』メイキング/クリエイトコーナーと浦山監督/キャスティング秘話/葛西さんから見た、小田部さんと奥山さん

◆池田 宏:『空飛ぶゆうれい船』『どうぶつ宝島』からスーパーマリオの世界へ
…はじめに/初めての出会いはアメノハヤコマ/お互い新人だった『空飛ぶゆうれい船』/アメリカ大使館で学んだ『ストーリーボード方式』/『どうぶつ宝島』から生まれた日本型アニメーションの「波」/池田さん、東映動画から任天堂へ/任天堂に小田部さんを呼んだワケ/奥山さんの本当にやりたかったこと/小田部さんの本当にやりたいこと

◆宮崎(大田)朱美:「奥山さんから続く女性アニメーターの路」
…大田朱美さんから見た、出来たての東映動画と奥山さん/職場の思い出/びっくりした小田部さんの仕事ぶり/『太陽の王子ホルスの大冒険』と労働問題/奥山さんの道をかきわけながら進んだ、共働き生活/アニメーターを辞めて家庭に/宮崎さんから見た小田部さんと奥山さん/奥山さんから続くもの、そして得たもの

〔語〕解説〔人名・作品名・用語〕 ほか

著者略歴

著:小田部 羊一
1936年台湾台北市生まれ。1959年、東京藝術大学美術学部日本画科卒業後、東映動画株式会社(現:東映アニメーション)へ入社。『わんぱく王子の大蛇退治』(1963)『太陽の王子ホルスの大冒険』(1968)『長靴をはいた猫』(1969)『どうぶつ宝島』(1971)などの劇場長編映画で活躍。『空飛ぶゆうれい船』(1969)で初の劇場作品作画監督。東映動画退社後、高畑勲、宮崎駿と共にメインスタッフとして『パンダコパンダ』(1972)『アルプスの少女ハイジ』(1974)『母をたずねて三千里』(1976)のキャラクターデザイン・作画監督を担当。その他劇場作品の『龍の子太郎』(1979)、『じゃりン子チエ 劇場版』(1981)でキャラクターデザイン・作画監督。1985年、開発アドバイザーとして任天堂(株)に入社。「スーパーマリオブラザーズ」「ポケットモンスター」シリーズなどのキャラクターデザインおよびアニメーション映像の監修。2007年任天堂退社後フリー。2015年度第19回文化庁メディア 芸術祭で功労賞を受賞。
著:藤田 健次
(株)ワンビリング代表取締役。AppleBooks電子書籍アニメーション原画集・資料集「E-SAKUGA」シリーズを企画・制作・販売。アニメーション・アーカイブのデジタルでの利活用を提案・プロデュースしている。また一方で、海外のロマンティック・コメディやラブ・ロマンスなどのジャンル映画を「キューティー映画」と再定義し情報を収集。サイトを通じて紹介している。
「小田部羊一氏トークショー -ハイジからチエ、そしてマリオへ- 」(京都国際マンガミュージアム)企画・司会、東映アニメーション60周年記念ドキュメント「僕とアニメと大泉スタジオ」(BSフジ)企画・監修、東京国際アニメフェア(現:アニメジャパン)公式サイト プロデュース・運営、ディズニー、スター・ウォーズ公式携帯サイトのプロデュース、世界初インターネット配信映画「好き (‘00:主演:田中麗奈)」配信総括などを務める。

ISBN:9784065171905
出版社:講談社
判型:4-6
ページ数:242ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2019年09月
発売日:2019年09月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF