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講談社+α新書

次世代半導体素材GaNの挑戦 22世紀の世界を先導する日本の科学技術

著:天野 浩

紙版

内容紹介

次世代半導体の材料は窒化ガリウムへ――日本人がノーベル賞を獲った青色発光ダイオードの材料だ。窒化ガリウムを使ったデバイスは、社会で電気を使う全ての物に使われるようになり、社会システムを根底から変え、21世紀最大の産業になる! 国際的な論文の引用件数などで危機を叫ばれる日本の基礎研究ではあるが、企業は技術をブラックボックス化し、戦略的に論文発表を抑えているのが実状だ。日本の「産学」が未来を創成する!


 次世代半導体の材料は、シリコンから窒化ガリウムへ――日本人がノーベル賞を獲った青色発光ダイオードの材料だ。窒化ガリウムを使ったデバイスは、社会で電気を使う全ての物に使われるようになり、社会システムを根底から変える。そして、自動車はもちろん、電車や飛行機、それにロケットにも使われる。そう、21世紀最大の産業になり得るのだ!
 国際的な論文の引用件数などで危機を叫ばれる日本の基礎研究ではあるが、実はむしろレベルアップしている。いま企業は技術をブラックボックス化して、戦略的に論文発表を抑えているのだ。実際、日本企業には面白い技術の種が多々ある。この技術とこの技術を組み合わせれば新しいビジネスが生まれるというケースも激増しつつある。
著者がセンター長を務める未来エレクトロニクス研究センターでは、技術の上流から下流までを一つに捉えるため、バラバラだった研究室を一体化した。新しい材料を開発し、その材料で素子を作り、その素子を使って面白いシステムを作るため、企業も40社以上が参画している。
 いま企業が求めているのは、「産官学ではなく産産産学」。実際、開発中の半導体については、半導体メーカーだけでなく装置メーカーやセットメーカーも参画している。「仕組み」がないと企業同士は本音で話せないが、名古屋大学では自由に話せる。こうして大学が旗振り役になり、日本で、22世紀を変えるイノベーションが生まれるのだ。

目次

第1章 青色発光ダイオードが教えてくれた真実
第2章 次世代半導体で世界をリードするために
第3章 日本の研究力はまだ強い
第4章 世界をリードする産学協同研究所を
第5章 GaNが創る未来のかたち

著者略歴

著:天野 浩
天野浩(あまの・ひろし)
1960年、静岡県に生まれる。工学博士。名古屋大学教授。名古屋大学工学部電子工学科を卒業後、同大学大学院工学研究科博士後期課程単位取得満期退学。名城大学理工学部教授などを経て、2010年、名古屋大学大学院工学研究科教授。2011年、同大学赤﨑記念研究センター長を兼任。2015年10月、同大学未来材料・システム研究所未来エレクトロニクス集積研究センター長・教授に就任。大学4年生から赤﨑研究室にて窒化ガリウムを用いた青色発光ダイオードの実用化に向け研究を続け、1985年、高品質単結晶の作製に成功。1989年には高輝度青色LEDの開発に世界で初めて成功。2014年、文化功労者に選ばれ、文化勲章受章。また、「明るく省エネルギーの白色光源を可能にした効率的な青色発光ダイオードの発明」の業績で、赤﨑勇博士、中村修二博士とともに2014年ノーベル物理学賞を受賞。現在は、名古屋大学において高効率パワー半導体など新たな省エネルギー及び創エネルギーデバイスの創成に向けた技術開発を進めている。

ISBN:9784065136300
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:192ページ
定価:880円(本体)
発行年月日:2020年04月
発売日:2020年04月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TBX