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講談社学術文庫

生命誌とは何か

著:中村 桂子

紙版

内容紹介

私とはなにか、私たちはどこからきてどこへ行くのか――。この根源的な問いにたいし、分析と還元を旗印とする科学、とりわけ「生命科学」は、有効に答えてきただろうか。「生命誌」は、科学によって得られる知識を大切にしながら、生き物すべての歴史と関係を知り、生命の歴史物語を読み取る作業である。博物学や進化論、DNA、ゲノム、クローン技術など、人類の「生命への関心」を歴史的に整理し、科学を文化としてとらえる。


DNAの解析やゲノムの解読、ワトソン『二重らせん』の翻訳など、日本の生命科学を牽引し、一般読者への啓蒙にも功績の大きい著者が、この20年あまり提唱してきた新たな学知、「生命誌」とは何か。1999年、NHK『人間講座』として放送されて好評を博したテキストをもとに、「生命誌」の基本的な考え方と今後の展望をまとめた好著。
私とはなにか、私たちはどこからきてどこへ行くのか――。この根源的な問いにたいして、分析・還元・論理・客観を旗印にしてきた科学、とりわけ「生命科学」は、有効に答えてきただろうか。著者の唱える「生命誌」は、科学によって得られる知識を大切にしながら、それを包み込んで新たな世界観を作るべく更に広く展開するものだという。それは、生き物すべての歴史と関係を知り、生命の歴史物語を読み取る作業である。
博物学や進化論、DNAの発見、ゲノムという考え方、性と死、クローン技術をめぐる議論など、人類の「生命への関心」を歴史的に整理し、科学を文化としてとらえ、社会の中に生かしていこうとする「生命誌」の取り組みと展望を語る。
『生命誌の世界』(2000年、日本放送出版協会刊)の文庫化。

目次

第1章 人間の中にあるヒト――生命誌の考え方
第2章 生命への関心の歴史――共通性と多様性
第3章 DNA(遺伝子)が中心に――共通性への強力な傾斜
第4章 ゲノムを単位とする――多様や個への展開
第5章 自己創出へ向う歴史――真核細胞という都市
第6章 生・性・死
第7章 オサムシの来た道
第8章 ゲノムを読み解く――個体づくりに見る共通と多様
第9章 ヒトから人間へ――心を考える
第10章 生命誌を踏まえて未来を考える――クローンとゲノムを考える
第11章 生命誌を踏まえて未来を考える――ホルモンを考える
第12章 生命を基本とする社会
学術文庫版あとがき

著者略歴

著:中村 桂子
1936年東京都生まれ。東京大学理学部卒。理学博士。国立予防衛生研究所、三菱化成生命科学研究所、早稲田大学人間科学部教授、東京大学客員教授などを経て、現在、JT生命誌研究館館長。おもな著書に『生命科学』『自己創出する生命』(毎日出版文化賞)『科学者が人間であること』『ゲノムが語る生命』『二重らせん』(共訳)ほか多数。

ISBN:9784062922401
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:276ページ
定価:1010円(本体)
発行年月日:2014年06月
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PS