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講談社現代新書

本物の名湯ベスト100

著:石川 理夫

紙版

内容紹介

温泉ファンが納得して、温泉地選びの参考にしてもらえるような、客観的指標を五つ設定。それは「源泉そのものを評価する指標」「源泉の提供・利用状況を評価する指標」「温泉地の街並み景観・情緒を評価する指標」「温泉地の自然環境と周辺の観光・滞在ソフトを評価する指標」「温泉地の歴史・文化・もてなしを評価する指標」。読み進めるうち、どんな効果・効能が見込まれ、どんな満足感が得られるかなどが、明確にわかる!


 「名湯○○選」とか「名湯の宿ベスト○○」といった、名湯選びや広い意味での温泉ランキングをテーマにした書籍には、大きな問題点が三つあった。

 第一には、その多くが温泉地選びというよりは、温泉宿選びに偏っていたこと。
 温泉宿選びイコール温泉地選びではない。宿選びに終始する風潮をこれ以上蔓延させては、温泉地というもののトータルで奥深い魅力や歴史を重ねて培われた存在意義、ましてや〈名湯〉を理解するには決して至らない。

 二番目の問題は、温泉のセレクション本がいったい、どのような客観的な基準、説得力ある根拠をもって選んだのかわからないこと。名湯の宿選び本の類も、多くは選ぶ基準が明確ではない。著者の主観や嗜好、ときには当の宿とのつながりから選んでいるケースがある。

 三番目の問題は、選ばれた名湯(宿) と言うのに、それを裏付ける、肝心の温泉そのものにかかわる基本データすらきちんと記載されていないこと。説得力ある根拠、検証過程が示されていないのである。

 こうしたこれまでの問題点をふまえ、多くの読者、温泉ファンが納得して、温泉地選びの参考にしてもらえるような、温泉地を評価し、ランク付けするのに客観的な指標をまずきちんと明示した。

 そして同時に、温泉地全体にかかわる源泉数、すべての泉質、泉温、pH、総湧出量、湧出状況(自然湧出・掘削自噴・噴気造成・動力揚湯の各状況表示)の基本温泉データをできるだけ正確に調べた。

 具体的には、温泉地を評価する客観的な指標を、次のように五つ設定した。

 一 源泉そのものを評価する指標
 二 源泉の提供・利用状況を評価する指標
 三 温泉地の街並み景観・情緒を評価する指標
 四 温泉地の自然環境と周辺の観光・滞在ソフトを評価する指標
 五 温泉地の歴史・文化・もてなしを評価する指標

 本当の温泉ファンが納得するランキングを読み進めるうち、名湯はどこにあって、どんな効果・効能が見込まれ、どんな満足感が得られるかなどが、明確にわかってくるだろう。と同時に、「あの温泉にはこんな楽しみ方もあったのか」「次の休日には、この温泉に行って見ようかな」などと思いを巡らせられるだろう。

目次

はじめに 本書はこれまでの「名湯」本とどう違うのか?
本物の「温泉力」を求める人へ/「名湯」「名湯の宿」本の問題点/温泉の基本データがわかる/どんな効果・効能があるかもわかる
名湯をランキングする指標はこれだ! ~凡例にかえて
豪華な施設や設備は評価対象ではない/1源泉そのものを評価する指標/自然湧出泉や自噴泉を評価する/卓越した療養泉の泉質、特色ある源泉を評価する/2源泉の提供・利用状況を評価する指標/源泉かけ流しは基本だが、すべてではない/3温泉地の街並み景観、情緒・を評価する指標/伝統的な旅館・共同浴場建築、石畳街、広場/4温泉地の自然環境と周辺の観光・滞在ソフトを評価する/国立公園・国定公園内であるか/国民保養温泉地に指定されているか/5温泉地の歴史・文化・もてなしを評価する指標/地産地消の努力も評価したい/温泉情報、基本温泉データ公開の現状/本書〈温泉データ〉の典拠について/本書の構成と記述方針について/
名湯ベストランキング 一〇〇位~八一位
【コラム・温泉を理解する1】温泉とは何か――ふつうの湯水とどう違う?     
名湯ベストランキング 八〇位~六一位
【コラム・温泉を理解する2】療養泉の泉質と分類、その効果
名湯ベストランキング六〇位~四一位
【コラム・名湯を知る、味わう1】名湯は五感全体で楽しむ
湯船と源泉は、料理と器の関係と同じ/自分好みの湯の色は?/温泉のエイジング(熟成)の妙味/温泉水自体が色づく例/温泉地で耳を澄まして〈聴く〉/名湯を〈かぐ〉アロマテラピー効果/飲泉療法とは違った〈味わう〉楽しみ/名湯と湯船に〈ふれる〉心地よさ
名湯ベストランキング 四〇位~二一位
【コラム・名湯を知る、味わう2】ぬる湯・冷泉の名湯
【コラム・名湯を知る、味わう3】共同湯・共同浴場のある温泉地に名湯多し
名湯ベストランキング二〇位~一一位
【コラム・名湯を知る、味わう4】国民保養温泉地を再評価する
【コラム・名湯を知る、味わう5】別格! 温泉霊場に癒やされる
名湯ベストランキング一〇位~一位
全国名湯マップ 
指標別ランキングベスト30

著者略歴

著:石川 理夫
一九四七年生まれ。温泉評論家。日本温泉地域学会会長。東京大学法学部卒業。温泉評論・執筆・メディア出演のかたわら、共同湯や温泉文化史等の研究に携わる。著書に、『温泉法則』(集英社新書)、『温泉巡礼』(PHP研究所)、『温泉で、なぜ人は気持ちよくなるのか』(講談社+α新書)、『温泉の平和と戦争』(彩流社)ほか多数。

ISBN:9784062884044
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:248ページ
定価:900円(本体)
発行年月日:2016年12月
発売日:2016年12月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WTL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:WTR
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1FPJ