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講談社現代新書

体の知性を取り戻す

著:尹 雄大

紙版

内容紹介

小学校入学と同時に覚えた「小さく前へならえ」。それ以来ずっと、私たちは社会が求める「正しい」鋳型に自分の体をあわせてきた。その結果、何が本来の自分なのか、わからなくなっている。自分の体は、自然界最大の謎なのだ。あらかじめ体に装備された力とは何か? どうすればそれを取り戻せるのか? 気鋭のライターが、自らの武術体験から、体に眠っている能力の引き出し方を明かす。(講談社現代新書)


【あなたの体に眠っている能力をどう引き出すか?】

「小さく前へならえ!」
「気をつけ! 休め!」
長年、社会が要請する「正しい」鋳型に合わせてきた結果、
私たちの体は知らぬ間に〈不自由〉になっている。

でも、自分の体のことは、自分が一番わからない。

あらかじめ体に装備された力とは何か?
どうすればそれを取り戻せるのか?

柔道、キックボクシング、古武術、韓氏意拳……
あまたの武道遍歴から考え抜いた
いまを生きのびるために大切なこと!


【推薦!】

頭による学習にばかり意を注ぎ、身体の感覚などは当てにならないものとして軽視してきた日本の教育の問題点を、著者自身の体験を通じて見事に衝いている。

――甲野善紀氏

身体を語る言語はつねに身体を裏切る。言葉で身体を語りきれるはずがないからだ。その根源的矛盾に耐えるためには、『居着かない文体』が必要になる。その困難な要請に著者は懸命に応えようとしている。

――内田樹氏


【目次】

第1章 「小さく前へならえ」で私たちが失ったもの
第2章 渾身のパンチより強い、手応えのないパンチ
第3章 「基本」とは何か
第4章 動かすのではなく、ただ動く
第5章 感覚こそが知性である

目次

はじめに
第1章 「小さく前へならえ」で私たちが失ったもの
就学時の胸のつかえ/幼子はなぜ大きな声でしゃべるのか/「小さく前へならえ」の意図/緊張を強いられた体/無意識のうちに学んだ作法/ルールからの逸脱が怖い/自分の体が見えない苛立ち/見失われた体のつながり/「正しさ」という鋳型/授業は「正しい姿勢」で聞くべきか/他
第2章 渾身のパンチより強い、手応えのないパンチ
重さと力に関する誤解/数値化できない何か/わかりやすさの罠/努力の内実/緊張の昂進/武術とは何か/武芸者たちの逸話/異次元の身体観があるはずだ/鍛錬すればするほど感覚が鈍っていく/柔道から空手へ/倒錯した思考パターン/手応えのないパンチで相手がダウン/他
第3章 「基本」とは何か
謎解きの糸口/踏ん張らない、捻らない、タメない/異質の手触りの力/後味が爽やかな技/基本稽古がない!/見ているものが学ぶべきすべて/基本とは何か/変化し続ける波の上では/観念から体を取り戻す/二つの型/「基本」信仰の底にある願望/型の意義/型によって体を見る/他
第4章 動かすのではなく、ただ動く
選べる道は常にひとつしかない/韓氏意拳が目指すところ/ただ手を振る/動くことと動かすことの違い/本来の自分を再発見する/「ただ立つ」という稽古/リアルな体に出会う/正しさとは無縁の快活さ/ただ手を挙げるだけなのに/幻想の世界と現実の世界/ニセモノの自立/未知に対し、既知では対応できない/他
第5章 感覚こそが知性である
言葉以前に体は存在する/何がものの見方を決めているか/魚の視点を体験してみる/壁の圧迫感が消える/魚にとって海は外部か/直立二足歩行がもたらした「ものの見方」/残念な討論/動いているものを動いている者の目で見る/感覚と運動の同期こそが知性の源/比べてみればわかる/手を動かし続ける/他
あとがき

著者略歴

著:尹 雄大
1970年、神戸生まれ。テレビ番組制作会社、出版社を経てライターに。インタビュー原稿やルポルタージュを主に手がける。10代で陽明学の「知行合一」の考えに触れ、心と体の一致をさぐるために柔道や空手、キックボクシングを始める。1999年、武術研究家の甲野善紀氏に出会い、松聲館に入門。2003年、光岡英稔氏に出会い、韓氏意拳を学び始める。主な著書に『FLOW 韓氏意拳の哲学』(冬弓舎)、『子どもが語る施設の暮らし』(共著、明石書店)などがある。

ISBN:9784062882804
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:176ページ
定価:820円(本体)
発行年月日:2014年09月
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:SR