講談社選書メチエ
共同体のかたち
イメージと人々の存在をめぐって
著:菅 香子
紙版
内容紹介
グローバル市場経済の秩序が政治に優先されるなか、人間は国民国家内部では表象されえず、市場の「リソース」となる。一方でそれと同期して現れる「エクスポジション」と呼ぶべきアート群。共同性を表象する効果を担ったイメージ(像)は失われたのか。結びつきの根拠が揺らいでいる状況のなか、共同体はどこに見出せるのか。アートの機能とナンシー、アガンベンなどの思想から、人間と共同性の関係を考察。
グローバル市場経済の秩序が政治に優先されるなか、人間は国民国家内部では表象されえず、市場の「リソース」となる。一方でそれと同期して現れる「エクスポジション」と呼ぶべきアート群。
共同性を表象する効果を担ったイメージ(像)は失われたのか。結びつきの根拠が揺らいでいる状況のなか、共同体はどこに見出せるのか。
イメージの機能やナンシー、アガンベン、エスポジトなどの思想を参照し、いまや「剥き出しの生」となった人間の存在様態を考察する。
目次
序――共同体をめぐる問いと芸術作品
第一章 絵画に登場する「人々」――われわれはどこから来たのか
第二章 「人々」の位置――われわれは何者か
第三章 さらけ出される「生」――われわれはどこへ行くのか
第四章 出来事としての共同体――互いに露呈されるということ
第五章 イメージと人々と共同性
1.「共」を問うナンシー
2.「国家」以外の共同性を探るアガンベン
3.生の前提条件に遡るエスポジト
結び――共同性の経験として現れる美的経験