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講談社選書メチエ

夢の現象学・入門

著:渡辺 恒夫

紙版

内容紹介

夢は未来予示あるいは想い人からのメッセージなのか。充たされない願望の幻覚的充足なのか。さらに脳科学や進化心理学的研究による「解明」もある。しかし、それらは私たち自身の夢実感からはかけ離れている。本書では、著者自身の夢日記や学生からの夢報告を材料として、夢という「世界」がどのような原理によって構成されそれをどのように体験しているのかを、現象学の方法によって、実際に解読していく。


なぜ夢の中では架空の他者になれるのか、あるいは実在の他者になれるのか。なぜ夢の中では未来も過去もないのか。夢という体験世界の構造原理はどのようなものなのか。
夢は古代以来、未来予示あるいは想い人からのメッセージとされ、近代ではフロイトによって充たされない願望の幻覚的充足と解釈されたりした。また、脳科学や進化心理学によって夢研究は大きく進展しているように見える。しかし、そのような「解明」は私たち自身の夢実感に納得のいく説明を与えるものだろうか。
本書では、著者自身の夢日記や学生からの夢報告を材料として、夢という「世界」がどのような原理によって構成されそれをどのように体験しているのかを、現象学の方法によって、実際に解読していく。
現象学的方法は、現実が「世界」なら夢も「世界」であるという、これまで気づかれなかった認識を鮮やかに与えてくれるものである。

目次

プロローグ 夢世界探検への招待
第1章 夢世界の基本的体験構造
第2章 誰でもわかる現象学(1)
第3章 タイムトラベルとしての夢、互いにつながりあった夢
第4章 別の時空に誰かとして生きている夢、入れ子構造の夢
第5章 自分が二人いる夢
第6章 誰でもわかる現象学(2)――フッサール現象学の基本方法
第7章 ゲーテの夢、大学生の夢、マッハの自画像――夢の第三者視点の謎
第8章 女子学生がカツオになり次に父親になる――他者変身の夢の謎
第9章 誰でもわかる現象学(3)――現象学と「他者」の問題
第10章 なぜ夢では他の誰かに変身できるのか――現象学的解明
第11章 夏目漱石『夢十夜』の現象学的分析・覚書
エピローグ 夢の現象学を始める人のために

著者略歴

著:渡辺 恒夫
1946年生まれ。京都大学文学部で哲学を、同大学院文学研究科で心理学を専攻。博士(学術)。
東邦大学教授を経て、現在明治大学専任講師。東邦大学名誉教授。心理学・科学基礎論専攻。自我体験、夢、ジェンダー、環境心理学、心理学の認識論などをテーマとしている。
著書に『人はなぜ夢を見るのか』『輪廻転生を考える』『心理学の哲学』『フッサール心理学宣言』などがある。

ISBN:9784062586313
出版社:講談社
判型:4-6
ページ数:216ページ
定価:1550円(本体)
発行年月日:2016年07月
発売日:2016年07月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSP