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人間 昭和天皇(上)

著:髙橋 紘

紙版

内容紹介

皇室取材歴約40年の著者による渾身の遺作。

帝国の統治者たることを運命づけられた少年、裕仁。
偉大な祖父は皇孫の誕生を誰よりも喜んだ。病弱な父と勁き母、闊達な弟宮たちとの葛藤、学友とともに受けた厳しい教育。乃木、東郷ら多くの功臣の期待を背に成長した彼は、第一次世界大戦後の欧州で君主とは何かを自問する。摂政就任から即位、戦争突入まで。

●……私は他の伝記作家とは違い、昭和、平成2代の両陛下やご家族、皇族に会見などでお会いしている。宮内庁を自由に歩きまわり、御用邸、御所なども見学会で見ているし、皇室の周辺にいた人とも数多く会っている。
 私は社会部育ちの、現場主義者なのだ。天皇がかつて訪れた場所やゆかりの地は、いまどうなっているのか、天皇や子どもたちはどう育てられたのか。そんなことを思いながら内外の現場をずいぶん歩いた。こうした経験をもとに、内側からみた天皇、皇室像を書いてはどうかと思ったのである。(「まえがき」より)

目次

さわやかな印象──まえがき
第一章 さしのぼる朝日のごとく
  1 皇孫誕生
  2 足立孝と乃木希典、そして父
  3 「明治」の終焉
第二章 帝王教育
  1 東宮御学問所
  2 “宮中某重大事件”と訪欧問題
  3 イギリスへ向かう
第三章 新しき時代へ
  1 英王室、ブレア城、ヴェルダン
  2 摂政宮殿下
  3 良宮と女官制度改革
  4 「外地」を視る
第四章 大元帥の家庭生活
  1 御大典とゴルフ
  2 大宮さまとの距離
  3 以後、拒まず
第五章 憂色深し
  1 大陸に広がる硝煙
  2 慶事と、禍いと
  3 ままならぬ思い
第六章 大勝は困難なるべし
  1 紀元は二千六百年
  2 開戦前後
  3 戦時下の宮中

著者略歴

著:髙橋 紘
(たかはし・ひろし)
1941年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、共同通信社入社。社会部長、ラジオ・テレビ局長、(株)共同通信社取締役などを歴任。この間、宮内記者会に在籍した。退社後は静岡福祉大学教授も務めた。専攻は皇室の近現代史。著書に『現代天皇家の研究』(講談社)、『象徴天皇』(岩波新書)、『昭和天皇 1945─1948』(岩波現代文庫)、『天皇家の密使たち』(共著、現代史出版会)などがある。また編集解説に『側近日誌』(文藝春秋)、『昭和初期の天皇と宮中─侍従次長河井弥八日記』(共編・岩波書店)などがある。

ISBN:9784062172998
出版社:講談社
判型:4-6
ページ数:498ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2011年12月
発売日:2011年12月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WQY