わたしの、好きな人
著:八束 澄子
紙版
内容紹介
小学6年生のさやかの家は、小さな町工場。母親はさやかの幼い頃に出奔したため、父と兄の3人家族だ。母親と入れ替わるようにして工場に現れて以来、父を支えて一緒に働いてきた杉田も、もはや家族の一員といえるかもしれない。さやかは二回りも年の離れた杉田に、ひそかに想いを寄せていた。その気持ちは家族愛に近いものなのかもしれない。しかし、さやか本人にとっては、ひとりの女性としての真剣な恋心なのだった……。
少女が心をよせたのは、おとなの、男の人……。
肩車からながめた夕焼け空。夜の駐車場で見つめた月。わたしのそばには、いつもあなたがいてくれた――。
北上次郎(「IN・POCKET」4月号より)
「リアルでコミカルで、そして切ない恋物語に引き込まれていく。ラストもいいぞ。」
第44回野間児童文芸賞受賞
目次
1…「すまん、さやか」と杉田はいった。
2…「泣くな!」と杉田はいった。
3…「いいかげんにしろ!」杉田はどなった。
4…「行ってこい」とおやっさんはいった。
5…「人生はチャレンジ」セイラはいった。
6…「つらいことは自分を変えるチャンス」兄貴はいった。
7…「頼む。行かせてくれ」杉田はいった。