講談社学術文庫
みちの辺の花
著:杉本 秀太郎
絵:安野 光雅
内容紹介
カラー版 花への恋情あふれる画文集
春、夏、秋、冬、日本の四季のうつろいを彩る花々、
みちの辺でふと出会う野の花、山の花。蕗の薹(ふきのとう)、蛍袋、藤袴、吾亦紅(われもこう)など可憐に咲く草の花。山茱萸(さんしゅゆ)、梅花空木(ばいかうつぎ)、黒芽柳など野趣に富む木の花。季ごとに届けられる花を美しい色彩で詩情豊かに描き、また、愛する花へのあふれる思いを綿々と綴ってゆく。身近で秘やかに咲く花への恋情こもる画文集。
山野の路傍にこの花を見つけて、「しばらく」と声をかけても、しょんぼりうつむいてだまっている。思いのほか無愛想だから、長く立ちどまって見とれるほど気を惹かない。名のおかげで、ずいぶん得をしている。一抹の幼ごころをよみがえらせ、ほんの一時にせよ、人をいわば詩人に変える魔法が、ほたるぶくろという呼び名にはひそんでいる。――<本書「蛍袋」より>
目次
季のめぐり 1
<春> 水仙(すいせん)
黒芽柳(くろめやなぎ)
蕗の薹(ふきのとう)
太郎冠者(たろうかじゃ)
<夏> 菖蒲(あやめ) 杜若(かきつばた)
宝鐸草(ほうちゃくそう)
<秋> 撫子(なでしこ)
節黒仙翁(ふしぐろせんのう) 時鳥草(ほととぎす)
三葉木通(みつばあけび)
嵯峨菊(さがぎく)
<冬> 金盞花(きんせんか)
千両(せんりょう)
季のめぐり 2
<春> 山茱萸(さんしゅゆ)
接骨木(にわとこ)
桃(もも)
山査子(さんざし)
<夏> 鈴蘭(すずらん)
梅花空木(ばいかうつぎ)
蛍袋(ほたるぶくろ)
<秋> 吾亦紅(われもこう)
葛(くず)
藤袴(ふじばかま)
<冬> 寒菊(かんぎく)
茅(ちがや) 朮(おけら)