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講談社学術文庫

熊野詣

著:五来 重

紙版

内容紹介

院政期の上皇が、鎌倉時代の武士が、そして名もなき多くの民衆が、救済を求めて歩いた「死の国」熊野。記紀神話と仏教説話、修験思想の融合が織りなす謎と幻想に満ちた聖なる空間は、日本人の思想とこころの源流にほかならない。仏教民俗学の巨人が熊野三山を踏査し、豊かな自然に育まれた信仰と文化の全貌を活写した歴史的名著が、待望の文庫化。


仏教民俗学の巨人の大いなる足跡
神道・仏教・修験が融合する謎と幻想の聖なる空間

院政期の上皇が、鎌倉時代の武士が、そして名もなき多くの民衆が、救済を求めて歩いた「死の国」熊野。記紀神話と仏教説話、修験思想の融合が織りなす謎と幻想に満ちた聖なる空間は、日本人の思想とこころの源流にほかならない。仏教民俗学の巨人が熊野三山を踏査し、豊かな自然に育まれた信仰と文化の全貌を活写した歴史的名著を、待望の文庫版に。

熊野の謎はまた人の心の謎でもある。この謎は古代から中世の庶民が、われわれにむかってかけた謎である。合理主義に徹した文化人、知識人の心は、合理主義の公式で解ける。しかし非合理的、前論理的な庶民の心は、公式では解けない。熊野の謎はそのような庶民の心の謎である。それは神道理論も、仏教理論も、美学理論もうけつけない。ただわれわれは熊野三山の歴史と遺物を虚心にみつめ、熊野三山の一木一石一径をあじわうよりほかはないのである。――<本書「むすび」より>

目次

第1章
 紀路と伊勢路と
 死者の国の烏
 補陀落渡海
 一遍聖絵
第2章
 小栗街道
 熊野別当
 熊野御幸
第3章
 音無川
 速玉の神
 那智のお山

ISBN:9784061596856
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:208ページ
定価:880円(本体)
発行年月日:2004年12月
発売日:2004年12月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WTL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:WTR
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1FPJ