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講談社学術文庫

身体論

東洋的心身論と現代

著:湯浅 泰雄

紙版

内容紹介

“心”と“身体”――デカルト以来の近代西洋哲学が幾度となく究明を試みたその問題は、東洋思想の照明を受けつつ、今日最もヴィヴィッドな課題として我々の前にあらわれている。哲学者であり、ユング心理学や「気」の研究の先頭走者でもある著者は、現象学、生理心理学との通路を縦横に結びつつ、東洋的「心身一如」論の現代的意義を浮かび上がらせる。海外の思想界に影響を与えた英語版を文庫化。

目次

0 研究の目的と問題の概観
   1.近代日本哲学
   2.二元論の実践的克服
   3.修行の歴史と理論
   4.身体論と現代科学
1 近代日本哲学の身体観
   1.和辻哲郎の身体観をめぐって
      ●人と人の間における空間と身体
      ●時間・空間経験の把握にみられる東西の思考様式
      ●心身の一体性について
   2.西田幾多郎の身体観をめぐって
      ●行為的直観における身体の両義的性格
      ●時間意識と空間意識の身体に対する関係
      ●有の場所からの無の場所へ
      ●意識における二重の層
      ●場所的経験における直接的な明証ということ
      ●行為的直観の二重の構造
      ●西田哲学の方法についての問題点
   3.東洋思想研究の態度と方法
      ●方法論的反省の必要
      ●東洋の形而上学と深層心理学
2 修行と身体
   1.修行とは何か
      ●インド仏教における戒律
      ●中国・日本における戒律観念の変化
      ●日本仏教における戒律と修行の関係
      ●修行の意味内容
   2.芸道論
      ●歌論における稽古と修行
      ●和歌陀羅尼観
      ●世阿弥における「わざ」と「心」
      ●無心と心身一如
   3.道 元
      ●禅の実践的性格は何を意味するか
      ●修行による日常的な存在理解の転回
      ●参禅における心身関係のとらえ方
      ●日常的次元からの脱落
   4.空 海
      ●中国仏教の特性と密教のインド的性格
      ●十住心教判と修行
      ●身体と性の問題
      ●マンダラにみられるエロスの昇華
      ●クンダリニ・ヨーガの瞑想との比較
      ●即身成仏における心身関係
      ●

ISBN:9784061589278
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:388ページ
定価:1260円(本体)
発行年月日:1990年