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講談社現代新書

英語の歴史

著:中尾 俊夫

紙版

内容紹介

一人称を「I」と書くのはなぜ?ノルマンの征服とフランス語の流入、18世紀の学校文法の完成など、文法・発音・語形・語彙がいかに変化してきたかを豊富な例とともに解説する。

It is me.とIt is I.――今日の口語では「私です」というとき、it is I.の代わりにIt is me. という。しかし14世紀を境にして、それ以前と以後ではまったく違った構造をしていた。すなわち、それ以前ではIt am I.といった。この文の主語は明らかにItではなくIである。しかも「補語+動詞+主語」という奇妙な語順をとっている。この文の主語がIであるというのは古英語以来の構文を受け継いだ結果で、古英語ではI it am.といっていた。つまり中英語期のIt am I.は古英語の主語Iを動詞の後ろに移動してできた構文なのである。It am I.は語源の確立とともに動詞の前は主語の領域と感じられてきて、だんだんItが主語と解されamがisに変わった。同じように動詞の後ろは目的格の領域と感じられてきたために、isがbe動詞であるにもかかわらず、他動詞であるかのようにIはmeへ変化した。――本書より

目次

●変化しつつある英語
●綴り字と発音
●英語のアクセントの特徴
●共通語と方言
●階級方言
●アメリカ英語
●言語戦争
●学校文法の誕生
●借入語の多い言語
●シェークスピアの英語
●文法の歴史
●語形の歴史
●発音の歴史
●造語法
●意味変化

ISBN:9784061489585
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:220ページ
定価:840円(本体)
発行年月日:1989年