角川ソフィア文庫
聖なる木の下へ アメリカインディアンの魂を求めて
著:阿部 珠理
内容紹介
アメリカインディアンの精神的伝統を今なお暮らしの中に残す共同体がある。スー族の保留地、ローズバッドとパインリッジである。胸に刺した木串で身を裂くサンダンス、大いなる霊・ワカンタンカへの信仰、聖なる輪の教え――。比較文明学者である著者が彼らと生活を共にしながら自らの目で見た事実から、その精神世界を探り、明らかにしていく。物質文明の発展だけでは得ることのできない「人間の本当の豊かさ」を問い直す。
目次
はじめに
プロローグ
歪められた伝統
収奪の歴史
ラコタ族の抵抗
聖なる木は死なず
第一章 メディスンマンを訪ねる
クロー・ドッグとの出会い
失敗に学ぶ
ウィチャシャ・ワカン(聖なる人)
癒しのさまざま
ヴィジョンを得た人
メディスンマンの条件
俗人として生きる
第二章 ラコタの人間社会
待つことに慣れること
インディアン・タイム
限りなく自然に、大らかに
四つの美徳
新しい伝統主義者
学歴、肩書が通用しない社会
誰も偉くない
第三章 男と女
女の子から女へ
毛布でデート
媚薬
ティーピィー・クローラー──ラコタの夜這い
結婚・離婚
ウインクテ
ホワイト・バッファロー・カーフ・ウーーマン・ソサエティー
第四章 ミタクエオヤシン──私に繋がる全てのもの
ラコタ思想の究極の真理
調和の思想──「聖なる輪」の教え
拡大家族ティオシパエ
孤児のいない社会
寄宿学校の悲惨
弱者へのまなざし
固い絆の戦士団
民のために生きたイタンチャン
ギヴ・アウェイ
持てる者が吐き出す
輪を巡るプレゼント
第五章 ラコタの神話世界
創世神話
ブラック・ヒルズの大レース
ホワイト・バッファロー・カーフ・ウーマン
パイプのキーパー
パイプの作法
聖なる香草
バッファローのエコロジー
聖数の四と七
第六章 精霊の住む国
全てに宿るスピリット
泉のスピリット──ウィウィラ
浄化の儀式──スウェット・ロッジ
闇の儀式──ロワンピ
タバコタイとフラッグ
イエスカ──スピリットの通訳
聖地ベア・ビュート
ハンブレチヤ──ヴィジョンを求める旅
ラコタのお葬式
第七章 サンダンスへの道
カブラヤの踊り
文化復興の象徴
一つに集合する祈り
聖なる木を迎えに行く日
清めのスウェット・ロッジ
太陽を迎える朝
身を裂く苦痛、そして祈り
ラコタの道を生きる
踊り続けるサンダンサー
ムーン・ウォーカー
トリックスターとしてのヘヨカ
ヒーリング・サークルそしてサンダンスの終わり
単行本あとがき
文庫版あとがき