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角川ソフィア文庫

脳からみた心

著:山鳥 重

紙版

内容紹介

言葉・知覚・記憶からなる心の働きは、脳が傷を受けると不思議な壊れ方を見せはじめる。「目を閉じて」と言われると口を開ける失語症。見えないはずの眼で、点滅する光源を指さす盲視。発症時を起点に、記憶や未来の時間を失う健忘症――。脳損傷に関する数多くの臨床例を通して、脳の不思議と心のダイナミズムを平易に解説。神経心理学の第一人者が「心とは何か」という永遠の問いに迫る、不朽のロングセラー。解説:養老孟司

目次

はじめに───脳と心の関係

一 言葉の世界
1 言葉は「意味野」の裾野をもつ
2 「語」の成立基盤
3 語は範疇化機能をもつ
4 「意味野」の構造
5 「語」から「文」への意味転換
6 自動的な言葉と意識的な言葉
7 言語理解における能動的な心の構え
8 状況と密着した言葉
9 言葉はかってに走り出す
10 過去の言葉が顔を出す
11 言葉の反響現象
12 言葉の世界は有機体 まとめ

二 知覚の世界
1 知覚の背景 「注意」ということ
2 注意の方向性
3 「見えない」のに「見ている」こと
4 「かたち」を見ること その1
5 「かたち」を見ること その2
6 「かたち」の意味
7 二つの形を同時に見ること
8 「対象を見る」とは何か
9 視覚イメージの分類過程
10 対象を掴む
11 私はどこにいるのか?
12 知覚の世界は宇宙空間 まとめ

三 記憶の世界
1 刹那に生きる
2 短期記憶から長期記憶へ
3 長期記憶が作られる過程
4 記憶の意味カテゴリー
5 記憶と感情の関わり
6 短期記憶はなぜ必要か
7 記憶の世界の広大な拡がり まとめ

四 心のかたち
1 言語と音楽能力は関係あるか
2 言語と絵画能力は関係あるか
3 左右大脳半球を分離する その1:左大脳半球と言語
4 左右大脳半球を分離する その2:右大脳半球の世界
5 人は複数の心をもつ
6 心のかたち

文庫版あとがき

参考・引用文献
解説────養老孟司

著者略歴

著:山鳥 重
1939年、兵庫県生。神経心理学者/脳科学者/医師。専門は高次脳機能障害。神戸大学大学院医学研究科修了。兵庫県立高齢者脳機能研究センター所長、東北大学医学系研究科教授、神戸学院大学人文学部教授を経て退官。『心は何でできているのか』(角川選書)など著書多数。

ISBN:9784044052195
出版社:KADOKAWA
判型:文庫
ページ数:304ページ
定価:743円(本体)
発行年月日:2013年06月
発売日:2013年06月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSP